子どもを理不尽に怒ってしまい後悔…小児精神科医と考える、ストレスを抱えない親子のコミュニケーションの取り方とは
◆健康的な精神状態を維持するために 内田 また、子どもの行動が原因でイライラした場合でも、「あなたが悪いから」と責めるのではなく、どうしてそのように感じたのかを説明することで、子どもは自分の行動を振り返り、成長する機会が得られます。 焦りやイライラといった感情の背後にある原因を理解し、それを正直に認めることは、保護者としてだけでなく、個人としても重要です。 私たちが感じる焦りや怒りは、しばしば深層の不安やプレッシャーから生じるものです。 これらの感情をただ抑え込むのではなく、どこから来ているのかを自覚することが、より健康的な精神状態を維持するためには不可欠なのです。
◆自分の内面に目を向ける 内田 自分自身に正直になることは容易ではありません。しかし、自分の感情や行動の背後にある動機を理解することで、自己受容を促進し、自尊心を高めることができます。 自分の弱点や失敗を認めることは、成長のための第一歩です。子どもや他人の行動を責めるのではなく、自分の内面に目を向けることで、より建設的な対応が可能になります。 このプロセスは1人では難しいかもしれませんので、セラピストとの対話を通じて支援を求めるのも1つの方法です。 また、自分の感情や考えを書き出すことで、自己理解を深めることができます。この書き出した内容は誰にも見せる必要はなく、自分だけの秘密の文章として、自分自身の感じていることや考えていることを正直に反映させることができます。これにより、自分の内面を整理し、感じていることの背景や原因を明らかにすることができるでしょう。 犬山 「自分の感情や行動の背後にある動機を理解することで、自己受容を促進し、自尊心を高めることができます」「このプロセスは1人では難しいかもしれませんので、セラピストとの対話を通じて支援を求めるのも1つの方法です」は、まさに私がカウンセリングを受けて、自分の怒りっぽさと向き合い、怒りの下に「甘えたい」という気持ちがあるんだなと向き合ってから、怒る回数が減ったり、怒りそうになる前に対処できたりと成長できたのを身をもって経験しています。 怒ったことをつい子どものせいにしてしまいがちだけれど、本当に子どものせいなのか、自分側の要因はないのか、なぜ注意ではなく怒るというコミュニケーションになってしまったのか、そこに向き合っていく必要があるんですね。 ※本稿は、『女の子に生まれたこと、後悔してほしくないから』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
犬山紙子
【関連記事】
- 「摂食障害」は若い女性に多く、精神疾患の中では最も死亡率が高い。 危険なダイエット法がネットに溢れる中、保護者の対応を臨床心理士と考える
- 約9割の子どもが中学校までに「いじめの加害・被害」のどちらか、または両方を経験。「いじめが起こりにくい環境」を作るために大人ができることとは
- 過度な美容広告やSNSで容姿に悩む人が増える現代。「自分なりのキレイ」を体現する人たちが共通して持っているものとは
- 高校生時代の容姿へのコンプレックスから解放された理由。10年以上ジュエリーデザイナーの仕事を続けて見つけた「自分なりのキレイ」
- ハイブランドのバッグを持ち、高級車に乗ることが「センスが良い」わけではない。人気ジュエリーデザイナー流「自分なりのキレイ」を表現するための考え方