シュールなアートにしびれる! 巨匠デ・キリコの作品100点以上が集まる展覧会
デ・キリコの絵は難しい?
デ・キリコの作品は、文字で解説すると「形而上」などのなじみにくい単語が出てくるので難しく感じてしまうのですが、実物を見ると意外に親しみやすくおもしろいです。 例えば、彼の室内画《球体とビスケットのある形而上的室内》では、三角定規のような物体や球体、ビスケットなど何のつながりもなさそうな物体が並び、不思議な雰囲気が漂っています。 彫刻の展示室もおもしろいです。デ・キリコの絵画をそのまま立体化したような彫刻は、ブロンズなのに柔らかな雰囲気。彼が繰り返し描いた「考古学者」や「馬と騎士」などのモチーフが、そのまま彫刻になっています。 また、舞台関係のデザインも、デ・キリコの個性があふれています。彼は1930年代から1960年代にかけて、ヨーロッパの有名な劇場でオペラやバレエなどの舞台美術や衣装を制作しました。 デ・キリコはニーチェやショーペンハウアーなどのドイツ哲学にも影響を受けて作品を制作しているので、作品解説を読むと、少し難しく感じることもあります。 なので、とにかく美術館で実物を見るのが一番です。本来、あるべきでない場所にビスケットが描いてあったり、ありえない組み合わせのモチーフが並んでいたりするので、見ていると奇妙な感覚に陥ります。その違和感をぜひ楽しんでください。
グッズもシュール!
最後の特設ミュージアムショップでは、デ・キリコの作品がグラスやステーショナリー、トートバッグなどさまざまなグッズになっています。 特にかっこいいのは、Tシャツ。絵画の中に描かれている三角定規のモチーフがデザインされ、クールでシュールです。色も、作品に出てくるカラーが使われているので、デ・キリコの世界観をそのまま身につけることができます。 神秘的で謎めいていて、夢の世界のようなデ・キリコ作品が楽しめる本展は8月29日まで開催。
Information
会期:2024年4月27日(土)~8月29日(木) 場所:東京都美術館 企画展示室 開室時間:9:30~17:30、金曜日は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで) 休室日:月曜日、7月9日(火)~16日(火) ※ただし、7月8日(月)、8月12日(月・休)は開室 観覧料:一般 ¥ 2,200、大学生・専門学校生 ¥ 1,300、65歳以上 ¥ 1,500 ※土曜・日曜・祝日及び8月20日(火)以降は日時指定予約制
田代わこ