シュールなアートにしびれる! 巨匠デ・キリコの作品100点以上が集まる展覧会
20世紀を代表するアーティストのひとり、ジョルジョ・デ・キリコ(1888~1978)の作品が上野の東京都美術館に集結。日本では10年ぶりとなるデ・キリコの大回顧展をご紹介します! 【画像】神秘的で謎めいている!? デ・キリコの世界観を感じるグッズの数々はコチラ。
「デ・キリコ展」開催中!
【女子的アートナビ】vol. 335 本展では、イタリアやドイツなど世界各地から集められたデ・キリコの絵画を中心に、彫刻、挿絵、さらに舞台衣装のデザイン画など多彩な作品100点以上を展示。初期から晩年までの作品をとおして、デ・キリコ芸術の全体像に触れられる展覧会です。
デ・キリコって?
デ・キリコはギリシャ生まれ。両親はイタリア人で、父親はシチリア貴族の家系でした。 アテネの美術学校やドイツのミュンヘン・アカデミー絵画コースで学んだデ・キリコは、幻想的な作品を描いたベックリンやクリンガーなどの画家たちに影響を受けます。 その後、1910年ごろから「形而上絵画」の制作を開始。 形而上絵画とは、幻想的な風景や静物によって非日常的な世界を表現する絵画のことで、ゆがんだ遠近法を用いたり、脈絡のないモチーフを並べたりしてシュールな雰囲気を出しています。 彼が生み出した「形而上絵画」は、ダリやマグリットなど多くの前衛画家たちに影響を与えましたが、デ・キリコ本人はいったん形而上絵画から離れ、1919年以降、ティツィアーノのような古典的絵画を描きはじめます。 その後、再び「形而上絵画」の画風に戻り、過去に描いた作品を再制作したり引用したりして、新たな作品を生み出していきます。 同じモチーフを繰り返し描くデ・キリコの制作方法は、アメリカで活躍していたアンディ・ウォーホルが高く評価。デ・キリコをポップアートの先駆けと見なしていました。 第一次世界大戦と第二次世界大戦を生きのびたデ・キリコは、トリノやフィレンツェ、パリなどヨーロッパ各地に移り住みながら暮らし、晩年はローマのスペイン広場近くにある住居を終の棲家として90歳で亡くなりました。