「タネから育てると、咲いたときの感動はひとしおです」お気に入りの植物をタネでつなぐ庭
植物をタネから育てるには、時間や手間がかかります。でも、タネをまいて芽を出し、花を咲かせるまでの時間を豊かに楽しんでいる方がいます。その人の名は、小島光代さん。学生時代に園芸を専門に学んだわけでも、プロのガーデナーや園芸家でもありません。タネまきを始めたころは試行錯誤の連続で7~8年ほどをかけて少しずつ自分なりのやり方を見つけ、安定してタネがとれるようになったそう。好きな植物はタネでつなぎ、庭に咲く花々はお気に入りばかり。『趣味の園芸』9月号より、一部を抜粋してお届け。
タネで植物をつなぐって、ステキだなと
小島さんがタネをまくようになったきっかけは14年ほど前に近所で美しい花を見かけてから。 「それは20年以上前にはやったビスカリアという花でした。タネをとってまきながら毎年花を楽しんでいると伺い、タネで植物をつなぐっていいなと思ったんです。 さっそくビスカリアのタネをまいたところ、こんなにかわいい花が咲くんだ! と感動しました。それは何年タネをまいても変わりません。ちょうどそのころ、自宅の農地だった1600㎡の土地を庭にするために大量の苗が必要に。だったらタネをまいたほうがリーズナブルということもあり、タネまきにハマっていきました」
気に入った花のタネを買えないことが
タネの流通には波があり、同じ種類を毎年コンスタントに入手できないことも小島さんがタネをとる理由の一つ。 「去年買えたタネを今年も購入できるとは限らないので、好きな花は自分でタネをとったほうが確実だと思ったんです。それにフロックスなど、品種によっては苗があまり出回らず、タネなら入手しやすいものもあります。 タネはシーズンごとにカタログでチェックして新しい種類を購入することも多いです。地域ごとに扱う種類が異なるので、旅先ではホームセンターや園芸店に立ち寄ってタネを探すのも楽しみです」
好みの花色を残して、自分の好きを残す
タネにはミックスと呼ばれ、複数の花色を混ぜたタイプがあるが(品種を混ぜたものも)、タネをとるときは好きな花色別に保存するのだそう。 「花色って好みがありますよね。例えば、ビスカリアのタネは花色がミックスだったんですが、好きなブルーや白い花を多めに残してタネをとりながら、だんだん自分の好き!をふやしていきました」 シーズン限りの一年草だけでなく、なんと宿根草もタネまきをするという小島さん。9月号では、まだまだお話を伺いながら、おすすめの秋まきの草花や、小島さん流のタネまきからタネとりまでの手順もご紹介しています。 小島光代(こじま・みつよ)/千葉県在住。自宅に隣接する1600㎡の庭でガーデニングを楽しむ。庭好きの間ではタネまき名人として知られ、毎年秋は100種類ほど、春は50種類以上のタネをまき、発芽から枯れゆく姿まで、植物の一生を見届けている。 ※小島さんの庭ではオープンガーデンは行っていません。また通年公開はしていないので訪問はお控えください。 ●『趣味の園芸』2024年9月号 注目特集〈タネをまく タネをとる タネで「好き」をつなぐ庭〉より