インバウンド客に無理な「英語対応」はいらない…一言目は「やさしい日本語」で話しかける重要性
そのうち、約5割が韓国人、次いで香港、中国本土、台湾、タイ、シンガポール、欧米系となっています。そのため、日常的に韓国語と英語を多く耳にしますし、以前は私たちも英語で話しかけていました。 そこを切り替えて、まずは「やさしい日本語」で話しかけてみることにしました。 「やさしい日本語」とは、日本人同士の会話でよくありがちな「話を最後まで言わない(推測させる)」「熟語を使う」「外来語(和製英語)を使う」「オノマトペ(擬態語・擬音語)を使う」などを極力避けることです。
「は・さ・み」(はっきり、最後まで、短く)というセオリーも重要です。 私はこのことを、自分だけでなく女将や従業員にも理解して実践してもらうことにしました。 最初は戸惑うお客様もいましたが、こちらが笑顔で「こんにちは」と言えば、お客様も自然と笑顔で「こんにちは」と言ってくれます。 私は、何よりも、この「笑顔」が大事だと思っています。 私たちが普通に日本人のお客様と接するときと同じように日本語で話しかけることで、肩の力を抜いた接客が自然と笑顔を生みます。私たち自身が、慣れない英語で無理して話しかけても、その顔は少しこわばっているのではないでしょうか。
■流暢な英語でなくても大丈夫 普段と同じように笑顔で話しかける。そして、その気持ちはお客様にも伝わって、お客様自身も笑顔になれます。 このことは、コロナ禍を経て客足が回復した当館のなかで、ひときわ一人の女性スタッフの接客にあらわれていました。 彼女は若くて接客業に携わってまだ間もないのですが、彼女が館内レストランへ接客に行くと、いたるところで笑いが沸き起こるのです。流暢な英語が話せるわけではないのに、さまざまな国籍の方から同じようなリアクションがあるのを何度も見かけました。
ある日、「接客で心がけていることは何?」と尋ねると、「まずは笑顔です!」と即答で返ってきました。 あとは、やさしい日本語と知っているだけの英語やジェスチャーで自然と笑いが生まれるのです。
二宮 謙児 :山城屋代表