妥協の必要なし!Galaxy AIを即使える8万円切りフラグシップ“級”スマホ「Galaxy S24 FE」
Samsungはフラグシップクラスの性能、機能性を手頃な価格で実現したAndroidスマホ「Galaxy S24 FE」を12月19日に発売する。auとSamsungオンラインショップで販売される予定で、後者の直販価格は7万9,800円だ。 【画像】ディスプレイは6.7型のDynamic AMOLED 2X(有機EL) 製品名に付加されている「FE」は「Fan Edition」の略。「Flagshipモデルレベルのパフォーマンス+手頃な価格」と謳われており、品質や使い勝手に密接するスペックは高い水準を維持しつつ、巧みなコストカットを実現している。 2024年モデルの売りであるAI機能「Galaxy AI」をすべて実装していることからも、無駄に機能を削っていないことは明らかだ。幅広い層に手に取ってもらうために、フラグシップ端末と同様に注力しているのだろう。 今回は本製品の実機を借用したので、フラグシップ端末と比べてどれだけの性能、機能性、品質を備えているのかという視点からじっくりとレビューしていこう。 ■ メモリ8GB、ストレージ128GBの1モデルのみを用意 Galaxy S24 FEは、OSにAndroid 14、UIにOne UI 6.1、SoCにSamsung Exynos 2400e(10コア、3.1GHz、2.9GHz、2.6GHz、1.95GHz)を採用。メモリは8GB、ストレージは128GBを搭載している。 ディスプレイは6.7型Dynamic AMOLED 2X(FHD+(1,080×2,340ドット)、ピーク輝度1,900cd/平方m、120Hz、ベゼル1.99mm)を採用。HDR再生に対応しており、YouTube、NetflixなどのアプリでHDRコンテンツを再生可能だ。 カメラは背面に約1,200万画素超広角(13mm、123度、F2.2、1/3.0インチ、1.12μm)、約5,000万画素広角(24mm、F1.8、1/1.57インチ、1.0μm、デュアルピクセルPDAF、OIS)、約800万画素望遠(75mm、F2.4、1/4.4インチ、1.0μm、PDAF、OIS、光学3倍、デジタルズーム最大30倍)、前面に約1,000万画素(26mm、F2.4)を搭載する。 動画撮影時、背面カメラでは最大8K/30fps、前面カメラでは4K/60fpsで記録可能だ。ただし超広角カメラにオートフォーカス機構が組み込まれていないため、マクロ撮影には非対応となっている。 ワイヤレス通信は5G(Nano SIM+eSIM)、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3、NFC、FeliCa(おサイフケータイ)に対応。インターフェイスはUSB 3.2 Gen 1 Type-Cを備えている。 ボディフレームはアルミニウム製で、画面と背面は「Corning Gorilla Victus+」でカバー。サイズは約162×77×8mm、重量は約213g。防水防塵はIP68を実現している。細かなスペックについては下記表を参照してほしい。 重要スペックについて「Galaxy S23 FE」、「Galaxy 24」と比較すると、下記のようになる。Galaxy S24 FEだけでなく、Galaxy S23 FEについても、現時点の水準においても高いスペックを備えているわけだ。 ■ ビジネスやプライベート用途で活用できる独自AI機能を多数実装 Galaxy S23 FEは、Android標準のAI機能に加えて、Samsung独自のGalaxy AIを利用可能。参考資料によれば下記の通り多くのAI機能が実装されており、ビジネスやプライベート用途で活用できる。 なおAI機能には、デバイス内で完結しているもの、サーバーへのネットワークアクセスが必要なものの2種類に分類できる。オンデバイスで実行できるAI機能は、ネットワーク接続できない環境でも利用可能で、またプライバシー面でも安心感が高い。実際に利用する前にはどちらの種類なのか確認しておこう。 今回いくつかのGalaxy AIを実際に試したが、かなり実用的であると感じられた。まずは「ノートアシスト」で利用できる「PDF翻訳」。PDFリーダーで読み込めば、まずは翻訳したのちに、そのあと要約文を作成してくれる。 最近の海外製デジタル機器では日本語マニュアルは簡易版で、詳細は英語マニュアルにしか記載されていないこともある。そのようなPDFマニュアルをしっかり読み込むのにノートアシストのPDF翻訳は非常に重宝するはずだ。 ビジネスだけでなく授業を受ける際にも便利に活用できるのが「Samsung Notes」。ノートアプリのSamsung Notes内で会議や授業の音声を録音しておけば、文字起こしと要約が可能なのだ。要点をまとめてくれるので一覧性が高い。議事録をまとめるような作業については、比べものにならないほどの効率化を図れることは間違いない。 Galaxy AIにはエンターテイメント機能も数多く用意されている。「フォトアシスト」に含まれる「AIスケッチ」は、写真にラフ絵を描き加えるだけで、リアルなオブジェクトを生成してくれる。絵心に自信がなくても、アイデアさえあれば映え写真を作成できるわけだ。 もう1つぜひ試していただきたいのが「セルフィー」の「ポートレートスタジオ」。こちらはセルフィーを元に、コミック、3Dアニメ、水彩画、スケッチなど多彩なタッチのイラストを生成できる。 イメージに合わなかったら、「再度生成」をタップすれば、数秒で新たな画像が生成される。デフォルメの強度を調整できればさらに楽しそうだが、現時点でもSNS用のアイコン画像作成には十分すぎるぐらい実用的だ。 ■ Snapdragon 8 Gen 3搭載機の83%相当の総合スコアを記録 処理性能については定番ベンチマークを実施したところ、「AnTuTu Benchmark V10.3.8」の総合スコアは1687730、「Geekbench 6.3.0」のSingle-Core Scoreは2065、Multi-Core Scoreは6535、GPU Vulkan Scoreは16162、GPU OpenCL Scoreは16103。 「3DMark」のWild Lifeは「Maxed Out!」、Wild Life Extremeは3871、Solar Bayは8255、Steel Nomad Lightは1888、「Geekbench AI 1.1.0」のSingle Precision Scoreは312、Half Precision Scoreは326、Quantized Scoreは1044、「AI Benchmark」のスコアは580となった。 記事執筆時点のAnTuTu Benchmark V10のランキングを見てみると、「Qualcomm Snapdragon 8 Gen 3」を搭載する「Red Magic 9 Pro」が1位でスコアは2025738だ。 つまり「Samsung Exynos 2400e」を搭載するGalaxy S24 SEは、その83%相当のスコアということになる。数値的には開きはあるが、Galaxy S24 SEは3Dゲームや、動画編集/書き出しにも活用できるだけのパフォーマンスを備えていることは間違いない。 バッテリ駆動時間については、ディスプレイ輝度50%、ボリューム50%でYouTube動画を連続再生したところ、13時間9分40秒動作した。4,700mAhバッテリを内蔵しているだけに、一般的な使い方であれば外出中に充電する必要はなさそうだ。 ■ 他社を含めたほかのフラグシップ端末と遜色ないカメラ画質 Galaxy S24 FEは、約1,200万画素超広角カメラ、約5,000万画素広角カメラ、約800万画素望遠カメラ、約1,000万画素インカメラを搭載している。今回テスト撮影してみたところ、どのカメラについても、他社を含めたほかのフラグシップ端末と遜色ない画質を備えていると感じた。 背面カメラについては0.6倍から30倍の任意の倍率で撮影可能で、10倍までなら大画面テレビで、30倍でも10型ぐらいの画面であれば鑑賞に堪えるだけの精細さを備えている。また、強い色が入っても自然な発色で、夜景モードでは明るく、低ノイズで撮影できる。 唯一の弱点がやはりマクロ撮影に対応していないこと。昨今のフラグシップ端末では被写体に近づくと自動的にマクロ撮影モードに切り替わるものが多数派だ。この点はコストカットしてほしくなったところだ。とは言えマクロ撮影非対応といっても、花や紅葉などが被写体であれば広角カメラでもある程度寄れる。7万9,800円という価格を考えれば、非常にクオリティーの高いカメラを搭載していると言えよう。 ■ フラグシップスマホをユーザー体験は同じ、Galaxy AIを即利用可能 昨今のスマホは10万円を超えるのは当たり前。最大容量では20万円を軽く超える製品も登場している。そんな中「Flagshipモデルレベルのパフォーマンス+手頃な価格」というGalaxy S24 FEは非常に貴重な存在だ。 もちろん7万9,800円という価格を実現するためにさまざまなコストカットが実施されているが、それによるデメリットをほとんど感じない。なにより最新端末ということで、ファームウェアアップデートの提供を待たずに、Galaxy AIの利便性を享受可能なのだ。 5万円切りのスマホはどうしてもどこかで妥協しなければならないことがある。フラグシップスマホと変わらない体験を、できるだけ手頃な価格で得たいのであれば、Galaxy S24 FEは真っ先に検討すべき1台であり、最後まで比較対象として残すべき1台であるとも言えよう。
PC Watch,ジャイアン鈴木