「子どもたちの喜ぶものに役立てて」女性の遺言 動物園に寄付された1.7億円、生まれたものは
キリンやライオン、ゴリラ、コアラなど、日本一の約450種類を飼育する東山動植物園(名古屋市千種区)。先日、SNSでレッサーパンダ舎の看板が話題になりました。人気のレッサーパンダが再び飼育されるようになった背景には、ある女性の思いがあったそうです。取材しました。 【画像】「子どもたちの喜ぶものに…」 SNSで話題になった看板
子どもたちの喜ぶものに役立てて
「このレッサーパンダ舎は、『子どもたちの喜ぶものに役立てて欲しい』という故人の方からのご寄附により整備されました」 東山動植物園のレッサーパンダ舎には、そう書かれた看板があります。 2016年、名古屋市の女性(当時70)が「かわいくて人気のある動物の導入に役立ててほしい」と遺言を残して亡くなり、約1.7億円が園に寄付されたそうです。 担当者は「『名古屋市の憩いの場として東山動植物園を維持、発展させてほしい』というご意思を受け、当園で検討した結果、全国的にも人気のあるレッサーパンダ舎を整備する運びとなりました」と話します。
39年ぶりに公開されたレッサーパンダ
レッサーパンダが暮らす獣舎は2018~2020年に計2.86億円をかけて整備されました。そのうち、約1.7億円が女性からの寄付だったそうです。 園では以前もレッサーパンダを飼育していましたが、1982年4月に最後の1頭が死んで以降導入していませんでした。 2020年12月に3頭のレッサーパンダを迎え、レッサーパンダ舎のオープン日である翌年3月10日、約39年ぶりに一般公開に至ったといいます。 担当者は、女性から寄付があったことについて「本件を皮切りに遺贈による寄付が一段と増えてきたように感じており、大変ありがたいことと思っています。寄付者の思いを直接目に見える形として残せたことによるものではないかと思います」と話します。 「これまで当園では、予算にない大規模な寄付金を受けてもそれを有効に活用する方法がありませんでしたが、本件を契機に『いのちつなぐ基金』を設立することができ、皆さまからの寄付とその思いを最大限活用できるようになりました。その点でもターニングポイントとなった、とても印象深い遺贈寄付です」