相手をベラベラしゃべらせる「雑談上手な人」が会話の時に見つめている「体の一点」
なぜか街中でよく道を聞かれる、タクシーを利用すると饒舌な運転手によく当たる――これに当てはまる人は、相手に“安心感”を与えているのかもしれない。そんな“感じがいい人”が身につけている「ペーシング」という技術を実践すれば、相手の警戒心が解けて、自然とべらべらしゃべってくれるようになるはずだ。本稿は、松橋良紀著『うまく「雑談できる人」と「できない人」の習慣』(明日香出版社)を一部抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● 相手の波長に合わせる「ペーシング」を 構成する3つの要素とは 信頼関係を築くためには、ペーシングという心理技術が不可欠です。ペーシングとは、相手のペースに合わせることをいいます。聞く技術というよりも、「相手の波長に合わせる技術」「エネルギーを合わせる技術」という方が正確です。 ペーシングには3つの要素があります。言葉、声、ボディーランゲージです。 (1)言葉のペーシング 相手の言葉をリピートして、そのままオウム返しをする方法です。 「この前さ、浅草に遊びに行ったんだよ」 「へえー、浅草に?」 「そうそう、雷門の提灯、大きくてびっくりしたよ」 「へー!そんなに大きいんだ!?」 大事なのは、相手が話したいことを邪魔しないことです。そのためにも自分の言葉に言い換えたくなる衝動と、あれこれ質問をしたくなる衝動を抑えることです。相手の言葉をリピートして返していると、この2つの衝動を自然に抑えることができるようになります。 (2)声のペーシング 声の要素は、「声の大きさ」「声の高さ」「声のテンポ」があります。 相手が声を張って話しているのに、こちらがボソボソ話したら音量がずれています。
また、声の高さも合わせます。そのため、相手と同じ音程で話すようにしましょう。 一番大事なのは、声のテンポ合わせです。相手が早口なら早口で、ゆっくりのんびり話す人ならゆっくりのんびりのテンポで話します。このように、相手に合わせた相づちや話し方をしていると、自然に相手は饒舌になっていきます。 (3)ボディーランゲージのペーシング 3つ目のペーシングは、ボディーランゲージです。ペーシングの技術の中では、言葉や声よりもはるかに影響力があります。 オウム返しはバッチリ。声の大きさ、音程、テンポもバッチリ合わせている。でもずっと目を合わせず、表情も変えず、うなずきもしないと、話す気力を奪います。 まずは呼吸を合わせましょう。かなり高度な技術ですが、相手の呼吸に合わせて、自分の呼吸をコントロールします。次に、姿勢、手の位置、足の位置、重心、身体の揺れ方などを観察して、合わせていきます。 そして一番やってほしいのが、アゴのペーシングです。相手が話しているときのアゴの動きをよく観察してください。話しながら、アゴが自然に動きます。