ルノー撤退の影響はなし。アウディは「長期的にF1に取り組んでいる」とCEOが主張、経営体制の再編も自信に
ルノーが2026年シーズンを前に、エンジンサプライヤーとしてのF1撤退を決定したものの、アウディのゲルノート・デルナーCEOは、同社のF1プログラムに対する「長期的な取り組み」について主張した。 【写真】スポーティングディレクターとしてザウバー/アウディに加入するジョナサン・ウィートリー 最近、アルピーヌF1チームにパワーユニットを供給するルノーは、F1の2026年の新エンジンレギュレーションに対応した独自のパワーユニットの開発を中止し、カスタマーチームに移行することを発表した。 この動きは、アウディが現在取り組んでいる、競争力のあるF1エンジンをゼロから開発することの難しさについて、一部の人々の間に懸念を引き起こしている。しかしデルナーは、ルノーの撤退がアウディの計画に何ら影響を与えていないことを認めた。アウディの撤退がきっかけで社内で何らかの議論があったかという質問に対し、デルナーは「いや、それは議論の対象にはならなかった」と答えた。 2025年にザウバーを完全買収する予定のアウディは、数年前からこのスポーツへの参入に向けて準備を進めてきた。インゴルシュタットを拠点とする同社が、シャシーとパワーユニットの両方を自社で製造し、完全なマニュファクチャラーとしてF1に参入することを決断したのは大胆な一歩であり、デルナーはその決意が固いことを強調した。 「アウディはF1に長期にわたって取り組んでいる」と、デルナーは『Motorsport Week』に語った。 「今年初め、AGとアウディの監査委員会はザウバーの株式を完全に取得することを決定した」 「そして2025年1月1日より、我々はザウバーを100%経営することになる」 ザウバーの取締役会会長も務めるデルナーは、アウディが2026年のルール改定に向けた準備を続けるなかで、彼自身もプロジェクトへの関与が増えるだろうと語った。 「2025年にはそれが実現するだろう。そして、私が現在ザウバーの会長であり、ザウバー・モータースポーツの取締役会の一員であるということは、個人的に私自身も、F1プロジェクトにさらに積極的に関与していくことになるということだ」 アウディのF1参戦に対する自信は、元フェラーリF1チーム代表のマッティア・ビノットがザウバーの新チーフオペレーティングオフィサーを務め、レッドブルのキーパーソンだったジョナサン・ウィートリーがチームのトラックオペレーションを率いるなど、戦略的な人材採用を行ったことでさらに強化された。 「我々は7月末から、責任を明確にした経営体制の再編に着手した」とデルナーは説明した。 「我々のF1プロジェクトに、マッティア・ビノットとジョナサン・ウィートリーという強力な経営陣を見つけることができて大変うれしく思う。強力な二重のリーダーシップチームがある。ひとりはマシン関連のプロジェクトとともに企業運営を担当する。そして、もうひとりがレーストラックのオペレーションを担当し、スポークスマンを務める。我々の将来の運営に向けて完璧な解決策を見つけたと考えている」 フェラーリで長年の経験を積んだ後にアウディに加わったビノットは、メルセデスやレッドブルのような確立されたパワーユニットメーカーが初期段階では有利になるだろうと認めた。しかしビノットは、アウディが最高レベルで競争したいのであれば、独自のエンジン開発を行うことが不可欠だと強調した。 「これは大きな仕事だが、アウディにとっては最も重要な仕事のひとつだと思う。なぜなら、我々独自のパワーユニットによってブランド化されるということが、このプロジェクトの重要な要素だからだ」とビノットは述べた。 「これは我々の目標の重要な要素だ。F1でタイトルを勝ち取るシャシーにするだけでなく、シャシーとパワーユニットの完全なマニュファクチャラーになることだ。しかしその課題が膨大なものであることはわかっている。これは大きな投資だ」 「だが、我々には優れた人材がいると思う。我々がうまくやっていくために必要なことや全面的なサポートはすべてそろっていると考えている。リーダーたちの信頼を得られるかどうかは我々の責任だ」 アウディは包括的なアプローチにより、F1における将来の勢力としての地位を確立している。ルノーの撤退により競争環境が変化する可能性があるが、アウディは独自のパワーユニットを開発し、2026年シーズン以降も競争力のあるチームを構築することに全力で取り組んでいる。このドイツの自動車メーカーはF1の将来に大きく賭けており、このスポーツで支配的なプレーヤーとしての地位を確立しようと決意しているようだ。 [オートスポーツweb 2024年10月10日]