ラーメン官僚が太鼓判を押す、福島県の本当にウマい店。喜多方ラーメンの人気店『とりそば にこみ 和(わ)』
鶏の滋味が口内を占拠する唯一無二の喜多方ラーメン
前回は「白河ラーメン」の注目店『手打中華そば もり』(白河市)をとり上げたが、今回は会津地方の「喜多方ラーメン」の聖地・喜多方市から、とっておきの優良店をご紹介しよう。それが2017年にオープンした、『とりそば にこみ 和(わ)』だ。 同店のロケーションは、JR磐越西線・喜多方駅から徒歩10分強。戦後間もない1946年に創業し、全国的な知名度を誇る「喜多方ラーメン」の老舗『上海』のほぼ真正面に位置する。大通り沿いでなく路地裏(喜多方マーケット横丁)に佇んでいるので、予備知識を持たずにアクセスするのは比較的難しいが、『上海』をランドマークとして目指せば、迷うことなく店頭まで辿り着くことができるはず
『和』が提供する麺メニューは、「かけとりそば(醤油味)」、「とりそば(醤油味)」、「肉とりそば(醤油味)」、「かけとりしおそば」、「とりしおそば」、「肉とりしおそば」など。オススメは、店主が手塩にかけてつくり上げた清湯スープと麺との競演が、トッピングにマスキングされることなく存分に味わえる「かけとりそば(醤油味)」だ。 スープは、丹念な血抜きを施した生丸鶏ガラ等を弱火でじっくりと丁寧に炊き上げ、緻密な計算の下、魚介(煮干し)由来の華やかな風味を添えたこだわりの塊。すすり上げれば、質量ともに圧倒的な鶏の滋味が、たちどころに口内を占拠する。
厳選した小麦から作り込む自家製麺も、艶っぽい麦香と強靭なコシが食べ手に鮮やかな印象を刻む逸品。香り高らかな鶏油や、唯一の薬味として添えられた刻みネギも、食味にメリハリを与えるアクセントとして、八面六臂の働きを演ずる。 「喜多方ラーメン」のスープは、「鶏」に加えて「豚」からも出汁を採るのが一般的。その点、スープに「豚」を一切使わない同店の1杯は、「喜多方ラーメン」の中では異色だが、見方を変えれば、これまでの喜多方にはなかった新しい味を提唱していると捉えることもできる。 喜多方には、同店以外にも星の数ほどの実力店が存在し、その中には、ラーメン好きであれば絶対に食べておくべき有名実力店も、少なからず存在する。それらの店を確実に訪問しながら、合間を縫って、同店にも足を運んでいただければ嬉しい限りだ。