資産効果がインド経済を底上げ、高値更新の株式市場では「ハイクオリティ」を選別=UTIインターナショナルCEOに聞く
インドの選挙の前に、インドというよりも、新興国について不透明感が強まってきていました。ウクライナやイスラエルでの紛争がなかなか終結の見通しがたたず、それによって先進国の政治も不安定になるのではないかという見方も出て、海外投資家が新興国株式全般に様子見の姿勢をとったのです。それまで買ってきたインド株についてはいったん売却をして様子を見るという動きをした投資家もいます。
しかし、インドにおいてはモディ首相が3期目を務めることが明確になり、ここ数年の安定成長を実現してきたモディ氏が今後5年間は首相として政権を担っていくことがはっきりしたのですから、海外投資家も安心してインド市場に戻ってきたということです。
――インドの株式市場は近年、米国に次ぐ値上がり率を記録しています。株価はPER20倍超で過去10年の平均を上回るなど割高になっていませんか?
インデックスは割高な水準に上昇しているといわれて強く反論はできません。ただ、インドの株式を3つのカテゴリーに分けて考えるなど細かく分析していくと、魅力的な銘柄も見えてきます。
3つのカテゴリーとは、「ハイクオリティ」、「中小型株」、そして、「国営企業」です。この中で、銀行、電力、鉱山などに多い「国営企業」には割高な銘柄が多いといえます。また、「中小型株」にも割高になった銘柄が少なくありません。
「ハイクオリティ」には、依然として割安な銘柄が多くあります。「ハイクオリティ」とは、どのような経済環境になっても毎年、フリーキャッシュフローを生み出し続けることができる企業のことです。一般消費財関連、また、ITサービスなどの分野に多く存在します。たとえば、インフォエッジという会社は、主要な4つのポータルサイトを運営していますが、住宅関連情報(賃貸・売買)、求人情報、結婚や出会い、そして、教育やグルメなど、人々が生活していくうえで必要な情報を提供しているため、常に利用され安定的な収益を生み出しています。このようなサービスを提供している企業が「ハイクオリティ」といえます。