誰がラムセス3世を殺したのか? ついに解かれた古代エジプト「3000年の謎」
殺人事件の結末と叫ぶミイラの正体
レリーフによってクーデター未遂の理由は明確になったかもしれない。しかし、3000年前の殺人事件の結末は謎のままだった。 2012年、国際研究チームによるCTスキャンと古代のDNA分析のおかげで、ついに謎を解くチャンスが訪れた。 新たなスキャンにより、ラムセス3世の腹部の臓器がホルス(エジプトの癒しの神)を象徴する小さな像に置き換えられ、首と足の周りにホルスのお守りがつけられていることが明らかになった。さらに、ラムセス3世の首が骨まで切り裂かれており、実際に暗殺されたことを示唆していた。 身元不明の叫んでいるように見えるミイラとラムセス3世はDNAを共有していた。研究者たちはこのミイラがおそらく陰謀を企てたとして処罰された王子ペンタウアーの遺体だろうと結論付けた。 では、「後宮の陰謀」がこのような恐ろしい結果を招き、不名誉な妃ティイはどうなったのだろうか? ティイのミイラは発見されていないため、レッドフォード氏は彼女が古代エジプト人にとって最も屈辱的な刑罰、火刑に処せられたと考えている。 「これは古代エジプト人にとって考えられる限り最悪の運命です」と、ピーター・グウィン氏はナショナル ジオグラフィックのポッドキャスト「Overheard」で説明した。「完全な抹殺です。遺体もなく、来世もありません」。動機は今後もわからないままだが、反逆行為によって最後の偉大なファラオの生涯を終わらせた女性にとっては、残酷な最期だろう。
文=Erin Blakemore/訳=杉元拓斗