「大正9年創業」のフィンテック企業?日本上陸の「ムームー証券」の正体とは 生成AI使い海外情報を翻訳、米国株投資の壁を取り除く
1月に新NISAが始まり、外国株投資に目を向ける人が増える中、「moomoo(ムームー)証券」というユニークな名称のオンライン証券会社が日本に上陸した。生成AI(人工知能)など最先端技術を活用したフィンテック企業をうたい、無料アプリで「プロ並み」の投資情報の提供を売りにしている。 【グラフ】海外株投信、23年過去最高 新NISAで個人購入増も
親会社「富途控股(フートゥー・ホールディングス)」は香港を拠点とし、中国IT大手出身のエンジニアが立ち上げた。米ナスダックに上場しているが、日本法人の会社概要には「大正9年4月設立」とある。ネット上では「一体どのような背景の会社なのか」といった疑問も飛び交う。日本法人社長を務める伊沢フランシスコ氏を取材し、会社の成り立ちや事業戦略について聞いた。(共同通信=西川廉平) ―2022年に無料の投資アプリ「ムームー」の提供を日本で開始し、23年9月から米国株の取り扱いを始めました。 「投資アプリのムームーは米シリコンバレーで開発され、香港では現在、成人人口の40%以上、シンガポールでは30%近くの人がダウンロードしています。全世界でのダウンロード数は2100万を超えました。(富途の海外向けブランドである)ムームー証券は米国、シンガポール、オーストラリアに続いて日本、カナダで展開を始めたところです。日本では7000以上の米国株の銘柄を取り扱い、人気の300銘柄以上は24時間取引が可能で、いずれも業界最多の水準です」
―サービスの特徴は。 「一般的な証券会社はまず口座を開いてから内部のサービスを利用できますが、当社は逆で、まず無料アプリを使ってもらい、口座がなくても豊富な投資情報や分析ツールを使えます。決算書を一般の人が読みこなすのは難しいですが、情報をビジュアル化して直感的に分かるように加工して提供しています。今は米国株のみを取り扱っていますが、2024年の早い段階で日本株の取り扱いも始めるべく準備をしています」 ―日本でも米国株人気が高まっていますが、言語の壁や入手可能な情報に格差があります。 「テスラやマイクロソフトといった米企業の決算説明会や、米連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見などをライブで配信していますが、AIを使ってリアルタイムで日本語字幕を見られます。チャットGPTを活用し、企業の決算開示資料も自動翻訳しています。生成AIは翻訳の精度がどんどん上がり日本語も自然になってきている。ユーザー同士がアイデアを共有するコミュニティー機能も充実し、外国ユーザーのコメントも自動翻訳されます。言語の障壁を取り除くことで、投資の成果を上げていただきたい」