「大正9年創業」のフィンテック企業?日本上陸の「ムームー証券」の正体とは 生成AI使い海外情報を翻訳、米国株投資の壁を取り除く
「ムームー証券」という名前は、英語の牛の鳴き声に由来するそうだ。証券業界で「ブル(雄牛)」といえば上昇相場の象徴で、会社のロゴにもブルをあしらっている。海外展開の加速とともに業績は急拡大しており、富途の2023年7~9月期の売上高が前年同期比36%増の26億5040万香港ドル(約500億円)、純利益は45%増の10億9120万香港ドル(約205億円)だった。 中国では最近、企業が海外展開することを「出海」という。文字通り「海へ出る」という意味だ。地政学的リスクの高まりを背景に、TikTokのように中国内と海外でサービスを分離する企業もあれば、SHEINのように最初から海外の消費者向けに展開し、中国市場でサービスを提供していない企業もある。 富途は以前、中国大陸向けにも事業展開していたが、資本取引規制の厳しい中国で金融当局の指導を受け、2023年5月に中国大陸でのアプリ提供を停止した。「ムームー」ブランドで海外展開を加速している背景にはそうした事情もある。中国では若い世代のエンジニアが数多く育つ一方、自国経済の成長力には陰りも見え始めている。「出海」によって日本上陸を目指す中国企業は今後ますます増えそうだ。