5年後その100万円で同じ商品が買えますか?投資は「お金の置き場所」を考えることで「銀行にお金を預けっぱなし」は実質的に資産を減らす行為である
時間を味方につける「長期投資」は若いうちから始めるもので、50代からではもう遅いのではないか?と思う人が多いのが事実ですが、人生100年時代の昨今、むしろ生き方が定まってくる50代こそ投資適齢期だと、長期投資のプロフェッショナルである、さわかみ投信株式会社社長〈澤上龍氏〉は分析します。お金に上手に働いてもらいながら、生き生きと過ごすための一つの目安は「65歳でプラス3000万円」。初心者にもわかりやすく、長期投資の方法をまとめた一冊『50歳から成功する長期投資』からポイントを抜粋してお届けします。 【書影】50代こそが投資適齢期!今からでも遅くない長期投資とは?『50歳から成功する長期投資 65歳でプラス3000万円』 * * * * * * * ◆インフレで預金は目減りしていく! 私は投資信託会社の代表なのに、よくこう言います。 「投資はしなくてもいいんです」 この言葉を聞くと、驚く人もいます。けれど本当に「しなくてもいい」と私は思っています。 たとえば、 「いずれは地方で農業をしながら暮らしたい」という人がいたとします。 そういう人にとって投資は必要でしょうか。 以前、鹿児島県を訪れた時、その地域の人々を見て「いい顔をしているなあ」と感じたのを覚えています。自然に囲まれ、野菜などを作り、食べることに基本的に困らないからだろうかと考えました。 そういう環境で暮らしているのならばお金はそんなになくてもいい。投資のことを考えるよりも、野菜の品種や効率的な栽培法などを勉強したほうがいいと思います。 ただ、自分はこれからどう生きたいのか、何をしたいのかを考えた時、たいていの人は「いくらくらいは必要だ」となるのではないでしょうか。
◆お金をどこに置きますか? また、資産がまったくないなら考えることもないのですが、いくらかでもお金を持っているのなら、「そのお金をどこに置くのですか?」という問題があります。 皆さんは、どこに置いているのでしょうか? 日本人では、一番多いのが「銀行」でしょう。 2021年12月末時点、日本人全体で、実に約1037兆6000億円もの資産が「預貯金」として銀行に預けられているというデータがあります。 銀行は、成熟した社会においては、決済機能を果たす機関としては有効です。 けれど、近年の預金利率を見ればわかるように、資産を増やす期待はまったくできません。 しかも今、世界はインフレの経済ですから、同じ金額のお金でも実質購買力はどんどん下がっています。 100万円預けたとして、5年後その100万円で以前と同じ商品は買えないのです。 つまり銀行に預けておくということは、資産を実質的に減らし、毀損(きそん)していく行為なのです。
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