一人の建築家が「広島・尾道」を海外クリエイターたちとの交流の場に選んだ理由[FRaU]
人と人、地域と文化がつながる拠点として
そして22年10月、長坂さんの新著出版を記念した展示とともにプレ・オープンに漕ぎ着けた〈LLOVE HOUSE〉。家主自らも約1週間宿泊しながら展示を案内した。そして、その後も海外クリエイターが不定期で滞在し、展示イベントなどを開催。当初の構想通り、家に近い使われ方で、まちに馴染んでいる。
「来てくれた人と話したり、夜な夜なご飯を食べに行ったり、そういうコミュニケーションが面白くて贅沢な時間ですね。2階からの海の風景も最高だし、鉄道や踏切が近くにあったり、渡船がエンジン音を立てて向島まで行ったり、夏ならそれらの音に混じって蝉の声が聞こえたり、瀬戸内ならではのノイズが楽しめるのも、この場所の魅力だと思います。 普通は決められた時間だけ、トークイベントやワークショップを開催して、終わると当然帰りますが、ここでは時間の境目なく、いろんな人たちがリラックスして話して、つながって離れていく。間違えてオープン前に来てまだ朝ごはん中でも、いいよ、見て行って、というノリが、この地域には合っているんじゃないかなという気がします。今後もそういうコミュニケーションができるスペースとして、料理家や音楽家も含めた多ジャンルのアーティストを招いて、文化交流ができる場所になればいいなと思います」(長坂さん) ●情報は、FRaU2024年1月号発売時点のものです。