未来のネコはどんな姿になる? ヒトとはもっと仲良くなれるのか、イエネコの進化について
イエネコの歴史はおよそ1万年、ほとんどの品種は200年以内に誕生
わずか1万年の間に、ネコは野生を離れ、人間と共に世界を旅するようになった。だがその前に、人類とかかわりなくおそらく3700万年の進化の時を経てきた生きものだ。 ギャラリー:世界の街ネコ、写真15点 日本の「ネコ島」も ネコと数千年間を共に過ごしても、人はネコの交尾のタイミングや相手についてはほとんど関与してこなかった。 イエネコと野生のネコでは、身体的にはあまり大きな違いはない。ネコのほとんどの品種は、200年以内に誕生したもので、体の大きさも形もほぼ同じだ。こうしたことからも、人がネコを飼いならすようになったのはごく最近だったことが分かる。
ネコの品種改良の歴史は浅い
ラグドールやバーマンといった品種が誕生したのはごく最近だ。巻き毛のコーニッシュレックスや毛のないスフィンクスもそうだ。起源が1600年代の中東にさかのぼるペルシャのように、もう少し歴史の長い品種もあるが、それでも大半の犬種に比べれば歴史は浅い。 また、イヌの場合は犬種によって天性の素質や性格が大きく違うことがあるが、ネコの場合、違うのは主に外見だけで、気質や体の大きさにそれほど違いはない。 ネコのブリーダーは、イエネコとヤマネコの交配など、新しい品種を誕生させることに今なお積極的だ。ベンガルは、ベンガルヤマネコとイエネコの交配で誕生した。サバンナキャットはアフリカのサーバルとイエネコの交配種だ。どちらも野生種との交配で生まれた猫種であり、それを問題視する人もいる。
野生化したネコも大型化
1000年以上前のヨーロッパでは、ネコは害獣の駆除や毛皮の材料に使われていた。スカンジナビアの考古学者グループが、バイキング時代のネコの毛皮と現代のネコのサイズを比べたところ、現代のネコの方が16%大きいことが分かった。 これは珍しい結果だ。というのも、通常、家畜化で動物は小型化するからだ。イヌはオオカミよりも25%小さい。ウシ、ヒツジ、ヤギなどの家畜動物も野生種より小型化している。 ネコの体格が大きくなったのは、人間が与える高カロリーの餌だけのせいではない。 オーストラリアの低木地帯に生息する野生化したネコが大型化している、という研究結果もある。こうした野生のネコは、人の食べ残しを盗み食いすることもあろうが、人に餌付けされているわけではない。 とはいえ、何かの魔法のようにネコがゴジラのサイズに巨大化することはない。ネコの前足に、物をつかむのに便利な親指がひょっこり生えてくることがあり得ないのと同じだ。