未来のネコはどんな姿になる? ヒトとはもっと仲良くなれるのか、イエネコの進化について
体は大きく、人懐っこく
では、今後ネコはどうなっていくだろう? ひとつに、未来のネコは今よりも大きくなると考えられる。 また、人間と暮らし続けることで、ネコはさらに人懐こくなるかもしれない。イヌは群れで暮らす動物として長い進化の歴史を持ち、孤独なハンターではない。それに比べネコは、生来単独で行動する傾向にあり、素っ気ない動物だ。 とはいえ、人間との交流を続けるうち、人懐こい方が生存していく上で有利になっているかもしれず、だとしたらより社交的な遺伝子が子孫に引き継がれる。 実際にそうやってネコはペットとして人に慣れてきたのかもしれない。「ネコがぴったり寄り添って寝てくれるのは、愛情の証」といわれるが、それが、ネコのいる生活の中で最も愛おしい瞬間のひとつであることに今も昔も変わりはない。 イエネコの社会的行動や性格について、ウンピョウ、ユキヒョウ、アフリカライオン、スコットランドヤマネコと比較した研究によると、イエネコは必ずしも集団生活には向いていないことが分かった。イエネコには、勝手気まま、神経質、衝動的という傾向が見られた。お世辞にも友人にしたいタイプではない。 それでも、イエネコの性格は、群れで暮らす方法を確立している比較的社交的なアフリカライオンと最も似ていた。つまり、ネコには今後もっと社交性を育む素地があるということだ。ネコの大集団は、「プライド」と呼ばれるライオンの群れとは違うかもしれないが、環境が整えば、ネコも集団生活が可能だとライオンが教えてくれる。 人がもっとネコの心理や行動を学べば、ネコとの関係をさらに良いものにしていけるはずだ。ネコがなぜその行動をするのか、どうすれば幸せなのか、何に我慢できて何には我慢できないのか。ネコのことを理解できれば、ネコにとってベストな生活環境を整えてあげられるようになる。 ※この記事はナショナル ジオグラフィック別冊『ネコ全史』の一部を加筆、再構成したものです。
文=Carrie Arnold/訳=夏村貴子