1戸当たり最大160万円の補助金! ZEH水準上回る「省エネ住宅の新築」で全世帯が対象
【家電コンサルのお得な話・226】政府は2050年までのカーボンニュートラルの達成に向けて11月22日、「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」を閣議決定した。その一環として、25年度から申請受付が開始される「高水準の省エネ住宅の新築」への補助制度が注目されている。この制度は、従来のZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)水準を上回る性能を持つ住宅に対して、1戸当たり最大160万円の補助金を提供するものだ。 【写真ギャラリー】 ●「再エネ」活用で消費エネルギーを実質ゼロにする住宅 新たに設けられる「グリーントランスフォーメーション(GX)志向型住宅」は、ZEH水準をさらに進化させた住宅のカテゴリーである。 具体的には、従来型の住宅に比べてエネルギー消費を35%以上削減する性能を求められるだけでなく、再生可能エネルギーを活用して消費エネルギーを実質ゼロにすることを目指している。 この住宅では、高性能な断熱材や断熱窓、効率的な給湯器の設置が求められるほか、太陽光発電パネルや蓄電池などの設備が必須となる。こうした要件を満たす住宅を新築する際、最大160万円の補助を受けられることは、大きなメリットといえるだろう。 ●トランプ氏の米大統領就任で脱炭素への取り組みが覆る可能性 一方で、24年度までの子育て世帯等を対象にした補助は基本的に減額されている。 確かに新たなGX志向型住宅では、年齢や世帯構成にかかわらず全世帯が補助の対象となる。これには省エネ住宅の普及をさらに加速させる狙いがあると考えられる。 ただ、この支援制度には懸念もつきまとう。そもそも温暖化やその原因とされるCO2の削減効果自体、科学的に証明されたものではなく、科学者の間でも意見が分かれている。実際のところ、純粋な環境保全というより、グローバリズム推進のための色合いが強い。 また、2025年1月20日に米大統領にトランプ氏が就任すれば、パリ協定からの離脱や脱炭素への取り組みが覆る可能性が高い。 こうした国際情勢の変化が著しい中、日本だけが未だ京都議定書に縛られているなど、周回遅れ、それも3周遅れくらいの政治をあらゆる面で展開しているのが現状である。 今回の施策が消費者にとっては恩恵があるものだとしても、供給側の企業は今後の国際的な動向を注視しながら対応していく必要がある。グローバリズムからインターナショナリズムへの変換という、日本の国益追求を軸にした柔軟な対応が求められているのではないか。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希) ■Profile 堀田泰希 1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。