金谷拓実 逆転で初賞金王!最終戦3位で決めた「今日の18ホールが今までで一番長かった」
◇男子ゴルフ 日本シリーズJTカップ最終日(2024年12月1日 東京都・東京よみうりCC=7002ヤード、パー70) 賞金ランク2位で今大会に臨んだ金谷拓実(26=Yogibo)が通算9アンダーの3位に入り、逆転で初の賞金王に輝いた。賞金1000万円を獲得し、17位に終わった賞金ランク1位の平田憲聖(24=ELECOM)を上回った。最終戦で6人に可能性が残ったキング争いは史上3例目の逆転決着となった。ショーン・ノリス(42=南アフリカ)が12アンダーで逆転優勝し、ツアー7勝目を挙げた。 18番、1・5メートルのボギーパットを沈めた金谷は帽子を目深にかぶり泣きそうな顔を隠した。「今日の18ホールが今までで一番長かった。一打一打集中した。最後の5ホールは“最後は気持ちだ”と思ってプレーした」。15番でボギーを叩いた後、16番で4メートルを入れてバウンスバック。17番パー5は残り220ヤードから2オンし、10メートルのイーグルパットを沈め初の戴冠を決定付けた。 アマ時代にツアー優勝を果たした逸材。プロ転向直後の20~21年は賞金ランク2位、昨年は同3位で王座を逃した。「ルーキーの時は賞金王は通過点という気持ちがあったけど、賞金王の重みを感じ始めた」。賞金ランク3位の資格で今季の欧州ツアー出場権を得たが、出場優先順位が低く出場できたのは共催大会を含めわずか2試合。賞金王になれば、より優先順位の高い出場権が得られるため、秋以降は日本ツアーに専念。そして狙った標的を射止めた。 1メートル72の体で戦うため月曜と水曜はトレーニングに励む。大学時代から指導を受ける大坂武史トレーナー(56)と「ドライバーより軽いものを振らないと速く振る筋力はつかない」(大坂氏)と軽い器具を振ってスイングスピードアップに取り組み、バランスボールやウオーターバッグを使い体幹を鍛えた。 調子を落とした夏には練習量を増やした。食生活も見直し、野菜中心のメニューに替え、サプリメントで栄養を補給。1日3杯飲んでいたコーヒーも口にしなくなった。平均ストローク、パーオン率など6部門で1位。パーキープ率、ティーショットの飛距離と精度を合わせたトータルドライビングは2季連続だ。弱点がないバランスの良さはトレーニングと豊富な練習量の成果だった。 今後はすぐに渡米して米ツアー2次予選会にも出場する。「来週からまた試合があるのでうれしいけど、一日一日成長していけるように頑張りたい」。世界で躍動する覚悟はできている。 ≪逆転賞金王は史上3人目≫最終戦での逆転賞金王は00年片山晋呉、17年宮里優作に次いで、金谷が史上3人目で、優勝者以外では初。倉本昌弘、谷原秀人らを輩出した広島県出身者では初のキング。 ◇金谷 拓実(かなや・たくみ)1998年(平10)5月23日生まれ、広島県出身の26歳。5歳でゴルフを始め、広島国際学院高を経て東北福祉大に進学した。18年にはアジアパシフィックアマを制し、19年にはマスターズに出場した。同年11月に三井住友VISA太平洋マスターズで史上4人目のアマチュア優勝を達成し、20年10月にプロ宣言。22年は欧州ツアーを中心にプレーしていた。1メートル72、75キロ。