底堅い米国経済を背景にファンダメンタルズ重視の業績相場に移行~クオリティを見極める企業分析力がパフォーマンスを左右する展開に~
質の高い強固な財務体質を持つ企業は、資本市場の影響を受けにくく、質の高い経営を持続可能とします。さらに、投下した資本に対し、より効率的に利益を創出できる企業は、より高い収益成長が期待されます。このように、「持続的な成長企業」を選定するにあたって、「クオリティ」は重要なポイントになっています。
――代表的なバリュー戦略のファンドである「アライアンス・バーンスタイン・米国割安株投信」(愛称:プレミアバリュー)は、やはり、バリュートラップ(バリューの罠=割安な状態がいつまでたっても割安なまま放置されること)を回避するために「クオリティ」を重視しているということですか?
運用の世界では非常にユニークなのですが、私たち運用チームでは、成長株戦略と割安株戦略というスタイルの異なる運用を同時並行で行っています。「プレミアバリュー」は、バリュー戦略であっても「優れたビジネス」を展開する企業を見つけ出して投資するという点で、「米国成長株投信」と共通のアプローチ、共通の理念を持っています。両運用ともに、徹底したファンダメンタルズ・リサーチで「優れたビジネス」への追求を行いますが、バリュー戦略では、優れたビジネスを有するのにもかかわらず低く評価されている「プレミアバリュー企業」を探求します。そして結果として、これがバリュートラップを回避する鍵になっています。
このように、「グロース戦略」と「バリュー戦略」の違いを説明すると、どちらの戦略の方が優れているのかという質問を良く受けます。答えは、長期の投資では、どちらも同じような成績を残しています。1979年から2022年までの44年間のバリュー株とグロース株のインデックスの運用成績を比較すると、その平均リターンは、バリュー株が年率11.6%で、グロース株は年率11.3%でほとんど変わりません。ただ、その時々の景気サイクルや投資家の選好等の変化によって「バリュー」と「グロース」のどちらが優位かという違いはあります。過去44年を各年のリターンでみたとき、両戦略の格差は平均で10%になり、短期では、どちらかの戦略を選択していた方が良かったということがあります。一方、その優劣は“糾(あざな)える(※より合わせた)縄”のように交互にやってくるため、株式で安定的に資産形成を行うためには、両方の戦略を併せ持って長期に投資することが有効な方法のひとつと言えます。
ウエルスアドバイザー