底堅い米国経済を背景にファンダメンタルズ重視の業績相場に移行~クオリティを見極める企業分析力がパフォーマンスを左右する展開に~
――米国株価は史上最高値を更新して依然として好調ですが、昨年の株高によって「マグニフィセント・セブン」といわれる超大型ハイテク株は割高な水準にあるという高値警戒感もあります。米国株式市場の現状をどのように見ていますか?
米国株価は史上最高値を更新して高値圏にありますが、同じように日経平均株価が史上最高値を更新した日本と比較すると、米国の状況には違いがあります。日本は36年ぶりに史上最高値を更新しましたが、米国の過去数十年を振り返ると、半分くらいの期間は過去最高値を更新し続けている期間になります。つまり、現在のように過去最高値を更新している状態というのが米国株式市場にとっては普通の状態(ノーマル)なのです。
そして、米国株式市場の上昇率は平均で年率10%程度なのですが、最高値を更新した後の上昇率も平均で10%程度なのです。ですから、米国株式に投資すると、高値圏でもそうでなくても、概ね年10%程度の上昇率で値上がりしてきたというのが、これまでの推移になっています。ですから、米国株は確かに史上最高値圏にありますが、この状態は何十年ぶりにあるような異常な状態というわけではなく、米国株にとっては、ごく当たり前の状態だということにご留意いただきたいと思います。
また、昨年来の株高については、「マグニフィセント・セブン(M7)」といわれる大型ハイテク株がけん引していましたが、現在では、M7の影響度は小さくなっています。たとえば、2023年の「S&P500」上昇の対するM7の寄与度は62%を占めました。これは、時価総額の比率が28%だったM7の株高が、それほど大きく株価指数の上昇に影響を与えていたのです。ところが、2024年の3月後半の状況では、M7の時価総額比率は29%程度ですが、株高に占めるM7の寄与度は43%に低下しています。M7の影響度が昨年に比べると今年は弱くなっています。これまでも、一部の銘柄に人気が集中してしまうことは良くあったのですが、その人気集中は数年間で解消されました。現在も、M7に集中してしまった物色人気が、徐々に拡散していっている過程にあると見ればよいと思います。