一度に大量の雪が降る「ドカ雪」温暖化で北陸での発生頻度5倍に 気温上昇でなぜ?
特に、雪国では、屋根の雪下ろしをはじめとする除雪作業が必要不可欠となるが、命の危険と隣り合わせで、雪下ろし中の転落事故はあとを絶たない。
■雪の重さを知って除雪事故防ぐ
事故を軽減するため、防災科学技術研究所では新潟大学や秋田大学などと共同で、雪下ろしの適切なタイミングがわかる「雪おろシグナル」というシステムを開発した。 これは、雪が積もり始めてからの気象データ(気温や風向など)から、積もった雪の内部における雪質や密度などを計算し、積もった雪の「重さ」と「危険度」を色別で可視化したもの。雪下ろしの目安となっているのが黄色で、重さは1平方メートルあたり300キロから500キロ、積雪深は1メートル以上で表示される。また、最後に雪下ろしを実施した日から現在までに降り積もった雪の重さを計算することも可能で、自分がいる場所のリアルタイムの雪の重さを知ることができるという。
■ドカ雪×湿った雪で「これまでの経験は通用しない」
中村センター長によると、屋根に積もった雪は見た目が同じでも、重さが同じとは限らないため、適切なタイミングで雪下ろしを行う判断は難しいという。必要以上の雪下ろしは事故の可能性を高め、雪下ろしが遅くなれば家屋倒壊の危険性が高まるおそれがある。 温暖化進行に伴いドカ雪が増加し、その上、水分を多く含んだ重い雪へと雪質が変わっているいま、中村センター長は「豪雪地帯で雪に慣れた人でもこれまでの経験が通用しない可能性がある。危険なリスクを背負った雪下ろしの作業の頻度を減らしたい」と話す。そして、ドカ雪から身を守る一番の方法は「頑丈な家の中にいること」だという。数日間は外に出られないことを想定し、食料や水の確保、停電に備えて灯油ストーブやカセットコンロを準備しておく。何より重要なのは、スマホなど情報を得る手段を絶やさないこと。最新の気象状況を確認してほしいと呼びかけている。