「ハナミズキ」「小さな恋のうた」「残酷な天使のテーゼ」――令和も歌い継がれるカラオケロングヒットのわけは #昭和98年
他4曲と一線を画す「残酷な天使のテーゼ」の異質さ
長く歌い継がれる曲の条件は「歌いやすい」「普遍的なメロディーと歌詞」の二つ。しかし、「残酷な天使のテーゼ」はこの条件を満たしていないにもかかわらず「DAM平成カラオケランキング」で3位、「JOYSOUND平成カラオケランキング」(1993年1月1日~2018年12月31日のデータを集計)で1位となっている。加えてアニソンという特徴も持つ異質な存在だ。『新世紀エヴァンゲリオン』の主題歌は放送終了後に巻き起こった“エヴァブーム”とともに異次元の飛躍を遂げた。 柴氏はこのように評する。 「アニソンの歴史の中で間違いなくターニングポイントとなっています。それまでアニメの付属物だった主題歌が、その枠を超えて愛され、歌われ続ける。それをかなえるほどの飛びぬけた歌詞とメロディーのパンチ力がありました」 今回、高橋洋子も取材に応じてくれた。自ら行ったファンへの聞き取りでは「残酷な天使のテーゼ」をカラオケで歌う理由について、次のような回答があったという。 「爽快感があるからとおっしゃっていました。決して簡単ではない曲を、あえて歌い切ることで達成感を得られているのかなと感心しましたね」
今回行ったアンケートでも「歌うとスカッとする」「爽快感がある」といった同様の感想が多くみられた。50代の女性は「歌うと気持ちいいし喉が開く。アニメを観ていない人でも曲自体は知っているので盛り上がれる」と回答している。 高橋は「残酷な天使のテーゼ」を歌うコツも教えてくれた。 「まずはゆっくり練習する。それで正しい音程で歌えたら少しずつテンポを速くしていくと、一歩抜き出た歌い方ができますよ」 だが当人は、実はカラオケが苦手なのだという。 「人前で歌うと仕事モードになってしまって楽しめないんです。ちゃんとやらなきゃと思って心が休まらない(笑)。それでも歌う時は都はるみさんの演歌『アンコ椿は恋の花』や荒井由実さんの曲ですね。アニソンだと『魔女っ子メグちゃん』『キューティーハニー』や、『はじめ人間ギャートルズ』の『やつらの足音のバラード』が好きです」