もう不要?今年の漢字 五輪の年は4回連続「金」…主催者は「今後もあり得る」
師走の風物詩的に取り上げられ、毎年12月12日の「漢字の日」に日本漢字能力検定協会が発表する「今年の漢字」。今年は1995年の発表開始以来、30回目の節目だったが、選ばれた「金」にデジャブを覚えた人も多かったようだ。それもそのはず、「金」が選ばれるのは実に5度目。五輪開催年に限れば、2012年のロンドン五輪以来、4回連続で選ばれたのだ。ネット上では「また同じ字か」などの声も上がる。もはや「今年の漢字」は要らないのか? 【画像】小学生の正答率が66%→81%に…「奇跡のフォント」とは
達筆すぎる「金」
今年は京都・清水寺で森清範貫主が揮毫した「金」が、「達筆すぎて読めない」「生?」「重?」とSNSで話題にもなった。「オリンピックの年はだいたい金」と、歴代の漢字から2024年を予想する人も多かった。 今年の反響について、主催の漢検協会の広報担当は、 「主だった声は届いておりませんが、SNS等で様々な意見を頂戴していることは把握しております。賛否含めて、漢字に興味を持っていただいていることだと考え、大変うれしく思っております」 と語る。22万票超の中から「金」は1万2148票を集め、以下、9772票の「災」、7487票の「翔」、7427票の「震」、6545票の「新」……と続いた。「金」は東京五輪開催年だった2021年以来、3年ぶりの選出だが、 「同じ漢字でも、その一字が選ばれた背景はその年ならではの理由がございます。今回も応募いただいた方の理由は、五輪のみに留まるものではありませんでした」
今後も「あり得ること」
確かに、漢検協会は選出の理由を「オリ・パラの日本人選手や大谷翔平選手などの活躍による“光”の『金(キン)』だけでなく、政治の裏金問題、闇バイトによる強盗事件、止まらない物価高騰など“影”の『金(かね)』」を理由にあげる人が多かったため、としている。こうしたさまざまな読み方や捉え方については「表意文字である漢字の多義性に興味を持っていただいている」とも。 とはいえ、5度目となると、今後も「金」が選ばれる可能性もあるが、どうなのか。 「現時点では、公募形式での決定方法の変更予定はなく(今後の五輪開催年にも『金』が選ばれるようなことは)あり得ることだと想定しています」 同じ字が選ばれることに賛否の声がある中で、潔さすら感じさせるほど、実にあっけらかんとしている。 もっとも過去30年に選出された漢字を並べられて、「この年の『金』にどんな背景があったのか」は、パッと想起できるものではない。その他の漢字についても、各年の漢字を見て背景を縷々説明できる人は、よほどのマニアか、うんちく好きの人か、ということにもなりかねないほど、選出の背景は雑多だ。