こんなん泣くわ…長年不仲だった「父の遺言状」に次男が涙した理由
● 「あぶく銭」になりがちな相続財産 財産のストーリーが重石になる 遺言者のAさんは「子どもたちに貯金を均等に遺したい」ということでしたので、「お子さんたちに何か伝えたいメッセージはありますか?」と尋ねたところ「子どもたちには直接言ったことはないんですが」と話してくれた内容が上記の付言です。 この「財産のストーリー」を通して、子どもたちは相続する貯金が、実は母親が大変な思いをして貯めたお金だったことを知らされます。もし皆さんがお子さんの立場でしたら、このお金をムダ使いできますでしょうか? 全部が全部そうだとは言いませんが相続財産は受け取る側からすれば、「棚からぼたもち」のいわば「あぶく銭」と言えるでしょう。人間一度でも、あぶく銭の味を知ってしまったら危険です。分不相応なお金を相続したせいで、まじめに働くのが馬鹿らしくなり会社を辞めて夜の街に入り浸るようになり、浪費・散財を繰り返し、果ては借金地獄で自己破産、そして一家離散……。実際そういう相続人を私は知っています。 「あぶく銭」とはよく言ったもので、自分が汗水たらして働いて得たお金ではないから軽いのです。あぶく銭はまるで羽が付いているかのようにフワフワとすぐ飛んでいってしまいます。 飛ばないためには重石が必要です。それが財産のストーリーです。散財するのはその財産の重みを感じていないからです。相続を美味しいと思わせない。ぜひ心して相続するように付言で伝えてください。
● 絶対にNGな付言例 矛盾や悪口、寝た子を起こす記述は無用 付言例(4) 遺言書では○○(長男)にあげるように書いたけど、私の本音は○○(長女)にもらってほしいです。今でも迷っています。自分たちで決めてもらってもいいぐらいです。お任せします。 これはかえってモメてしまう最悪の付言です。自分たちで決めてもらうなら最初から遺言書は書かないほうがよいです。相続人同士で決めなくて済むようにするために遺言書を書くわけですから。 仮に本文に「長男に○○を相続させる」と書いてあってもこの付言があるせいで手続き先の法務局や金融機関が長男への名義変更や払戻しを素直に認めるかどうかわからなくなってしまいます。 付言例(5) 親不孝者!私もお父さん(夫)もあなたには失望しました。あのズボラな○○(嫁)の顔も見たくありません。なぜあなたが財産をもらえなかったかは自分の胸に訊いてみればわかるでしょう。 遺言者Gさんは最初、上記の付言を考えていました。事情をお聞きするとたしかにお気持ちはわからないでもありませんでした。ただ、この付言を見たときの息子夫婦の気持ちはどうでしょうか。