重鎮vs現首脳陣の構図だったバイエルンの新監督探し なぜフリックではなくコンパニが選ばれたのか
原因は現状認識の違い
29日(現地時間)、バイエルン・ミュンヘンはヴァンサン・コンパニ監督の就任を発表した。 今季は2011-12シーズン以来の無冠に終わったバイエルンは、38歳の青年監督にチームの再建を託すことになった。しかし、トーマス・トゥヘル前監督の後任としてハンジ・フリック氏も有力な候補者だったとドイツ紙『Sport Bild』は伝えている。 同紙によると、フリック氏にはバイエルンのウリ・ヘーネス名誉会長とカール・ハインツ・ルンメニゲ元取締役が接触。フリック氏とは旧知の間柄だった二人が同氏にバイエルン復帰を持ち掛け、フリック氏も2025年6月末までの1年契約での監督就任を受け入れる意向であったという。 ところが、新監督探しの責任者だったバイエルンのマックス・エバール現取締役は、ヘーネス氏やルンメニゲ氏からフリック氏についての話を聞いた後の5月11日に電話でフリック氏と会話しただけで、それ以降一切連絡を取らなかった。エバール氏は、トゥヘル監督の残留が最優先、それが失敗した場合にはコンパニ監督のもとへ行くという方針で動いていた。 エバール氏がこのような選択をした理由として、チームに対する現状認識がヘーネス氏やルンメニゲ氏と違っていたことが挙げられる。 エバール氏は、今のバイエルンが世代交代を含めた移行期にあり、これまでのやり方を一新する必要があると考えていた。そのため、トーマス・ミュラーやマヌエル・ノイアーらベテランの現主力メンバーとの関係性が強いフリック氏を新監督に据えればチーム再建が中途半端に終わると考え、自身と同じく改革を強く訴えていたトゥヘル前監督の慰留やバイエルンとこれまで関係のなかったコンパニ監督の招聘を優先していたと『Sport Bild』は伝えている。 果たしてコンパニ監督に再建の任が託されることとなったが、この決断はどのような結果をもたらすのだろうか。
構成/ザ・ワールド編集部