なぜ侍ジャパンは米国戦逆転サヨナラ勝利で4強進出を決めることができたのか…「投手層の厚みと日本得意の小技」
日本も2番・坂本勇人(巨人)のレフトフェンス直撃の二塁打で同点とするも、5回から登板した青柳がわずか8球で3点を失った。先頭の2番・アルバレス、横浜DeNAでプレーするオースティンに連打を浴び、4番・カサスに逆方向となるレフト席へ運ばれた。 何とか切り抜けたものの、青柳はその後も2安打を許している。 国際試合を勝ち抜くためには攻守におけるミスを極力なくすだけでなく、選手の見極めをつける作業も必要になる。その意味で「流れを悪くしてしまった。前を向いてしっかりと準備したい」と試合後に話した田中の起用も再考すべきだと高代氏は言う。 「マー君の代え時は、ベンチの見極めとしてはよかったと思う。球数が増えるにつれボールが徐々に浮いていた。シーズン中もそうだが、責任投球回数を投げ切るまでの絶対的なボールはない。技術とコントロールで抑えるのには限界がある。2連勝して金メダルをつかむのであれば、韓国戦は山本(由伸=オリックス)、決勝戦では森下(暢仁=広島)、あるいは大野の先発という選択肢になるのではないか」 野球が公開競技だった1984年のロサンゼルス五輪で金メダルを獲得した日本は、正式競技に復活した1992年バルセロナ五輪から2008年北京五輪までの5大会で、1996年アトランタ五輪の銀メダルが最高だった。オールプロで臨んだ北京五輪では準決勝で韓国、3位決定戦ではアメリカに連敗して4位に終わっている。 ソフトボールとともに13年ぶりに復帰した東京五輪で、稲葉監督は悲願の金メダル獲得を目標に掲げてきた。敗者復活戦がある関係で、決勝でアメリカと再び顔を合わせる可能性もあるなかで、高代氏は「次の韓国戦が最大のヤマ」と指摘する。 「日本戦に異常なほどのファイトを燃やしてくる。打者は韓国リーグのベストメンバーを選んでいる。投手陣は信頼できるエースがいないが、総合力ではアメリカよりも上だと思う。山本が我慢し、まずは先制点。そこが重要になる」 五輪だけでなくWBC、プレミア12でも激闘を繰り広げてきた韓国戦へ、稲葉監督は「すべての試合がそうであるように、しっかりと全員野球で戦っていきます」と力を込めた。銀メダル以上がかかった準決勝に日本はドミニカ戦で6回を2安打9奪三振無得点に抑える快投を演じた山本に中6日で先発を託す予定だ。