生きることにお金がかかりすぎる…。お金と好きなことのバランスをとるには?
文筆家として恋愛やジェンダーに関する書籍・コラムを多数執筆している、恋バナ収集ユニット『桃山商事』代表の清田隆之さんによる連載。忙しい日々の中、私たちには頭を真っ白にして“虚無”る時間も必要。今抱えている、モヤモヤやイライラも、ちょっと軽くなるかもしれません! 【画像】お金と好きなことのバランスをとるには?の参考になる本
■生きることにお金がかかりすぎる…。どうやってお金と好きなことのバランスをとればいい? 【今月の“虚無っちゃった”読者のお悩み…】 好きなことをするにも友達と遊ぶにも、お金がかかりすぎることに愕然とすることがあります。お金をかけずに楽しむ方法もあると思いますが、それでも人やものに優先順位をつけて精査したり、いろいろなことをあきらめたりしなければいけない気がします。学生時代はお金がなくても友達とダラダラ楽しむことができたけれど、社会人になってからはなかなかそうもいかなくて。結局、虚無ってSNSなどを眺めては、「今日も何もしなかった……」とため息をついたりする日々です。清田さんは、お金と好きなことのバランスに、どう向き合っていますか? ライター藤本:今回のお悩みは、「生きることにお金がかかりすぎる」というもの。お便りを読んで、本当にそのとおりだなとうなずいてしまいました。 清田さん:なるほど……自分は昨夜、SNSで流れてきた「○○を食べてる人は今すぐやめて」「○○をやってる人は損してますよ」みたいなショート動画に煽られ、自分の生活を見直そうとまんまと思わされてしまいました。 それはさておき、今回のテーマは、「お金のように限りあるものを何にどう使うか」ということですよね。その問い自体は、人生そのもののような気もするから、ある程度は避けられないかもしれない。 ただ、自由に使えるお金があまり限られていると、相談者さんの言うように、やりたいことを精査したりあきらめなきゃいけなくなったりすることが増えて、楽しくないという気持ちになってしまうのは当然だと思います。 じゃあ、どう解決したらいいのかというと、お金を増やすためにたくさん稼ぐか、勉強して資産運用でも始めよう、みたいな話になりがちだと思うんですが、あいにく自分はお金に関してまったく知識がなくて……。お金のことを考えながら生きるのが、すごく苦手なんですよね。 yoi編集部:ご相談には、「清田さんは、お金と好きなことのバランスに、どう向き合っていますか?」とありますが……。 清田さん:お金のことはよくわからないので、あまり考えたくないというのが正直なところなんです。お金がなくても不安になるし、かと言って今の収入で安心なのかとか考え始めても気持ちがくさくさするし。それに、欲しい本や趣味のサッカーに使うお金を我慢するのも嫌で(苦笑)。急にポルシェが欲しいなんて思わないけれど、今の生活を崩壊させない範囲であれば、欲しいものは我慢したくない。自分にとっては、お金のことを考えないで済む程度に、嫌いではない仕事で収入を得て、楽しく暮らせる、というのが幸せ。とにかく「お金について何も考えなくていい状態」が理想だなって感じます。 ただこれは、完全に個人的な意見で、お金に対する考え方は人それぞれ。年々貯蓄を増やすことが重要だという人もいれば、その日その日を楽しめるのが一番だという人もいるでしょうから。まずは自分の価値観を言語化し、そのために必要なお金を何でどのくらい稼げばいいのかを考えてみることが大事だと思います。 これは、お金だけでなく、体力や時間に関しても言えること。質問者さんも「学生時代はお金がなくても楽しめた」と言っていますが、若くて体力も時間もあったからできたこと、ってたくさんありますよね。ファミレスのドリンクバーだけで朝まで盛り上がったり、青春18きっぷで長時間かけて移動したり。 ライター藤本:確かに……あれは、お金の代わりに体力や時間を使っていた、ということなんですね。 清田さん:お金も、体力や時間も、有限な資産。人生において、それらを何にどう使うのが自分にとって幸せなのかを考えて、その価値観と大きくズレない方法を選ぶようにすれば、ストレスをなくすことは無理でも減らすことはできるんじゃないかな、と思います。 文筆家 清田隆之 1980年生まれ、早稲田大学第一文学部卒。文筆家、『桃山商事』代表。ジェンダーの問題を中心に、恋愛、結婚、子育て、カルチャー、悩み相談など様々なテーマで書籍やコラムを執筆。著書に、『おしゃべりから始める私たちのジェンダー入門―暮らしとメディアのモヤモヤ「言語化」通信』(朝日出版社)など。桃山商事としての著書に、『どうして男は恋人より男友達を優先しがちなのか』(イースト・プレス)などがある。Podcast番組『桃山商事』もSpotifyなどで配信中。 イラスト/藤原琴美 構成・取材・文/藤本幸授美