秋は“鳥見”の季節! カワイイ小鳥を探しに出かけよう【バードウォッチングウィーク・前編】
小鳥が小鳥を狙う!? 小っちゃなハンター「モズ」
頭でっかちで丸っこいフォルムのカワイイ見た目とは裏腹に、肉食のハンターであるモズ。タカやハヤブサと同じ、先端がカギ状に曲がった鋭いくちばしがその証で、獲物を引き裂いて食べるのに適した形なのだとか。虫やトカゲ、ときにはネズミや小鳥を襲うこともある、ちっちゃな猛禽(もうきん)だ。
秋口から目立つようになり、「キィーッ、キッキッキッ」「ギチギチギチギチ……」などと甲高く大きな声で鳴くのと、木のてっぺんや枝先、アンテナの上などに1羽で止まっていることが多いのとで、存在に気づきやすい。スズメよりひとまわり大きく、ハトよりはずっと小さいサイズだ。観察するうちに、長めの尾をゆっくり回すように振る、独特のモーションを目撃できるはず。 公園のほか、畑や河川敷など、人里近くの開けた環境でよく見られる。筆者が今季最初に見たのは、埼玉県にある見沼自然公園に隣接する畑。そのすぐあとに、東京都の大森ふるさとの浜辺公園でも、コロンと丸みを帯びた姿をたっぷりと愛でた。
芝生がランウェイ!? 胸を張ってモデルポーズを決める「ツグミ」
ツグミという名前自体は、ジョウビタキやモズより有名なのでは? “口をつぐむ”のがその名の由来といわれ、ジョウビタキやモズには鳴き声で気づけるのに対して、ツグミはそうはいかない。 でも、姿はどちらよりも見やすいかも。公園の芝生広場やグラウンドなど開けた地上で立ち止まり、胸を張ってしゃんとしたポーズを決めてくれる。ハトよりは小さいけれど、スズメよりずっと大きなサイズであるのも、発見しやすいポイントだ。常時、だんまりを決め込んでいるというワケでもなく、たまには鳴く。観察中に「クイクィッ」という声を聞くことができたらラッキー。 地域によって差もあると思うが、見やすくなるのは冬になってから。今シーズン、筆者はまだ出会えていないが、昨シーズン“再会”を果たしたのは11月中旬だ。ちなみに、取材先での移動中に立ち寄った、静岡県の三嶋大社で見かけたのだった(つまり、鳥を見るのを目的としていなくても、鳥の名所でなくても、どこでも“鳥見”はできる!)。
鳥たちを見つけられなかったら……
今回紹介した小鳥たちは、比較的目立つところに出現しやすいが、なにぶん小さくて動きも速い。探すのが難しいと感じたら、公園の池など水辺の鳥の観察から挑戦してみるのがオススメ。とくに、カモの仲間は大きく、動きもゆっくりなので、簡単に見つけられるだろう。 ――後編では、秋~冬に水辺にやってくる渡り鳥をご紹介―― text:櫛田理子 photo:吉村冬彦