イギリスの政治と日本の政治 何が違うのか 内山融・東京大学大学院教授
イギリス政治の変化
一方、イギリス政治も変わりつつある。イギリスは保守・労働の二大政党制であると見られてきたが、近年、多党化が進んでいる。2010年の総選挙では過半数をとる政党が出なかったため、保守党・自由民主党の連立政権となった。また、EUからの離脱を唱える英国独立党(UKIP)、女性党首ニコラ・スタージョン率いるスコットランド民族党(SNP)などの中小政党も支持を増やしている。5月7日の総選挙でも、過半数をとる政党が出ないとの予想が強い(「ハング・パーラメント」(宙ぶらりんの議会)と呼ばれる)。 以上のとおり、日本政治はイギリス政治に接近しつつある一方、イギリス政治自体も変わりつつある。両者がいっそう近づくのか、そうならないのか、ことによると入れ替わるのか、今後の展開が注目される。 ---------------- 内山 融(うちやま ゆう) 東京大学大学院総合文化研究科教授。専門は日本政治・比較政治。著書に、『小泉政権』(中公新書)、『現代日本の国家と市場』(東京大学出版会)など。