【釜山国際映画祭 2024】坂口健太郎くんを追っかけ! 現地レポート
舞台挨拶
翌日の3日は、映画の殿堂の大劇場での公式上映で、監督と有村さんとともに舞台挨拶。まず坂口くんが話したのは、自分が演じた「成瀬」役の難しさ。「成瀬」は心臓の持ち主である「雄介」の意識があると同時に、「雄介」が得意だったピアノまで突如弾けるようになっちゃうという、無茶ぶり設定なんですよ! 「撮影中は”今のこれってどのくらい雄介なんだろう”と思いながら演じていました。自分の体に『ふたりの人格』とは言わないまでも、別の人間の意識があるなんて誰も経験がないと思うし、なかなか説明しようがないんですが、お芝居として見せなきゃいけないところもあるし。でも正解はないことも思っていたので、監督やスタッフの方たちと話し紆余曲折しながら、探り探り、雄介が入った成瀬の人物像を作り上げていった感じでしたね。ピアノもすごく大変でした。でもカメラマンさんがちょっと手元を入れてワークアウトを取れたら、やっぱり画の質もやっぱりすごく変わると思うので、練習は本当に時間をかけてやらせていただきましたね」
ピアノの話題はこの後のオープントークでも。「雄介の心臓をもらってから、それまで触れたこともないのに、ふたりを繋げていた曲をピアノで弾けるようになる。すごく練習の時間を持って臨ませてもらったし、弾きながらなんで弾けるのかわからないという感情は、自分でも理解するのが難しかったんです。途中で、自分の中の雄介がいなくなり、弾けなくなるという瞬間もあるし。ピアノのシーンはやっぱり印象的でした」
「愛」に関する質問も
さて釜山映画祭の舞台挨拶って、観客に映画を学んでいる学生がめちゃめちゃ多いので、容赦なく本質的な質問が飛ぶんですけど、このときの難題は「あなたにとって愛とは」。監督は「恐れ」で、有村さんは「涙」と答えた後の、坂口くんの答えはこちら! 「『愛とは?』って聞かれると、僕はよく『自己犠牲』だと答えているんです。家族、恋人、友達のために、自分を犠牲にしてまで何かをしたくなるというふうになって初めて、それが愛と言えるのかなみたいなことをよく考えますね。愛情ってすごく普遍的で、国とか人種とかいろんなものを超越してそこに存在してるものだと思います。人間は必ずしも常に正しい選択ができるわけじゃないし、どうしても間違いを犯してしまう時もある。でも人間は、やっぱり生きていくんですよね。いろんな悲しいことを乗り越えて、1歩ずつ前に足を踏み出さないといけなくて。 もちろんドラマの中の登場人物たちのような存在が実在するかと言われると難しいのかもしれません。でも作品で存在し、呼吸する彼らのストーリーや生き様のようなものを、皆さんの心のどこかに残していただけたらなと思います」