<わたせせいぞう>画業50周年 今年80歳「生涯現役」 名作「ハートカクテル」誕生の裏側
マンガ「ハートカクテル」「菜」などで知られるマンガ家でイラストレーターのわたせせいぞうさんが2025年、画業50周年を迎える。今年、80歳になるわたせさんは「生涯現役」を宣言しており、「常にチャレンジしている」という。わたせさんに画業50年を振り返ってもらいつつ、未来を語ってもらった。 【写真特集】令和によみがえる「ハートカクテル」 80歳になる! わたせせいぞうの写真も
◇転機となった「ハートカクテル」
わたせさんは1945年、神戸市生まれ、北九州市小倉育ち。早稲田大法学部卒業後、同和火災海上保険(現あいおいニッセイ同和損害保険)でサラリーマン生活を送りながら、マンガを描く。1983年には「モーニング」(講談社)で代表作「ハートカクテル」の連載を開始。サラリーマンとマンガ家の二足のわらじを続けてきたが、40歳で退職する。
子供の頃から絵を描くのが好きだった。ただ、ほかの子供と描く絵が少し違った。
「父は絵が好きでしてね。絵の家庭教師が付いていたんです。幼稚園の年長とか小学校1年の頃です。覚えているのは飛行機の絵です。終戦後だから、零戦を描いていたんです。右斜め後ろから描いていた思い出があり、それが一番好きでした」
わたせさんの作品には、車がよく登場する。時には、斜め後ろから車を描くこともあるが、立体的な絵を描いていた子供の頃が原点なのかもしれない。
画業50周年を迎える中で「長い歴史があり、ずっと変化しています。今も変化を求めてチャレンジしています」とも話す。転機となったのは「ハートカクテル」だった。
「『ハートカクテル』を4色で描いたのが原点になっていますが、それからずっと変化しています。『ハートカクテル』の前に、双葉社で4ページのカラーのコミックを描いたんです。モーニングの編集長がそれをご覧になっていて、カラーで4ページというオーダーがありました。うれしかったです。カラーで描くのが好きなので、チャンスだと思いました。サラリーマンとの二足のわらじが7年くらいあって、土日に描いていました。最初の4年くらいはカラーばかりではありませんでした。カラーになるのは『ハートカクテル』の頃、サラリーマンを辞める3年くらい前でした」