森保J圧勝の口火を切った南野拓実はなぜ26年ぶりの記録を打ち立てることができたのか?
本能の命じるままに動いた。相手ゴール前に飛び込んでいくタイミング。2人のセンターバックの間に割って入るポジション取り。そして、急停止からジャンプし、最高到達点で頭をクロスにヒットさせるテクニック。埼玉スタジアムの夜空に、MF南野拓実(ザルツブルク)が咆哮をとどろかせた。 「クロスがけっこう上がっていたので、試合が始まってから『今日の攻撃チャンスになる』と感じて、クロスに対してどれだけ早くいい準備ができるかを自分のなかで変えていった。ただ、ボックス(ペナルティーエリア)内では自分の感覚ですね。あまり考えずに動いていたかもしれない」 FIFAランキング183位のモンゴル代表と対峙した、10日のカタールワールドカップ・アジア2次予選のホーム初戦。同31位の日本代表を6-0の圧勝に導いたのは、MF伊東純也(KRCヘンク)が右サイドからあげたクロスに完璧なヘディングを見舞い、ゴール左隅に突き刺した南野だった。 ゴールラッシュの呼び水になった前半22分の先制弾は、南野にとっては2度目となる代表戦3試合連続ゴールだった。9月5日のパラグアイ代表とのキリンチャレンジカップ、同10日のミャンマー代表とのアジア2次予選初戦に続く代表通算8点目に、試合後には思わず苦笑いを浮かべた。 「あまりヘディングで点を取るタイプではないんですけど、(ミャンマー戦から)2試合続いているのはいい傾向ですね。でも、特にヘディングは練習していないんですよ」 ザルツブルクにおける直近の公式戦でも、南野はゴールを決めている。リヴァプールのホーム、アンフィールドに乗り込んだ、日本時間3日のUEFAチャンピオンズリーグのグループリーグ第2節。ヨーロッパ王者を真っ青にさせた豪快なボレー弾が、南野の名前をヨーロッパ中へ知らしめた。 1-3と2点のビハインドを背負っていた後半11分。ファーサイドを目指してペナルティーエリア内へトップスピードで走り込んできた南野が、左サイドから放たれた山なりのクロスに対して右足を一閃する。ピッチに叩きつけられた強烈な一撃が、ゴール左隅を正確無比に射抜いた。