モーツァルトの美しい音楽に彩られた “不道徳な”名作オペラ!?【クラシック今日は何の日?】
クラシックソムリエが語る「名曲物語365」
難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。
モーツァルト オペラ『コジ・ファン・トゥッテ』 “女はみんなこうしたもの”という不道徳な名作オペラ
今日8月17日は、イタリアの詩人で台本作家、ロレンツォ・ダ・ポンテ(1749~1838)の命日です。 イタリアのヴェネト州に生まれたダ・ポンテは、ヴェネツィアで聖職に就いたところが、放蕩生活がたたって追放されウィーンに移住。彼の地でサリエリの口利きによって台本作家の道を歩み始めます。 このダ・ポンテの名を歴史に刻んだ作品が、モーツァルトとの共同制作によって完成させたオペラ、『フィガロの結婚』『ドン・ジョヴァンニ』『コジ・ファン・トゥッテ』の3作品でした。「ダ・ポンテ3部作」と呼ばれるこの3つのオペラの素晴らしさはまさに破格。オペラ史上屈指の名コンビによる最高の成果といえそうです。 2人のコラボレーションによる最後の作品となった『コジ・ファン・トゥッテ』は、姉妹の恋人である2人の男が、それぞれの相手の貞節を試すために互いの相手を口説いたら、2人とも心変わりしてしまったというドタバタ喜劇。 美しい音楽に彩られた不道徳な作品こそは、モーツァルトとダ・ポンテという放蕩の天才コンビならではの名作です。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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