右肩上がりに増える<東洋医学>臨床研究報告。専門家「過大に効果を宣伝するものも…私達のまわりの現状は玉石混交」
◆人を対象とした研究の報告数が増加 このように、まだ課題はあるものの東洋医学の再現性を担保するための施術・療法の標準化が進められた結果、人を対象とした研究(臨床試験)の報告数は近年右肩上がりに増加してきています。 また別の背景として、中国が国家戦略として研究費を投じて研究を推進してきたこと、アメリカでNIH(国立衛生研究所)が生薬や鍼灸などの検証に対する研究費を増額したり、専門の国立機関(National Center for Complementary and Integrative Health)が設置されたりしてきたことも挙げられます。 そして、効果の有無を検証する臨床試験と並行して、東洋医学が効果を発揮するメカニズム解明の研究も進められてきています。これらの研究では、分子生物学的な手法を用いるもの、最新の脳科学、神経科学、免疫学の知見を応用するものなど、科学が進歩してきたからこそ明らかになってきた面もあります。
◆統合医療というアプローチ ところで、日本では鍼灸師は国家資格、漢方薬の一部は医薬品といった具合に国の制度に組み込まれているものがある一方、東洋医学は人によって定義も異なることから、その名を使って過大に効果を宣伝するものが存在しています。つまり、身の回りでは玉石混交と言わざるを得ないような現状があるのです。 また、東洋医学のほか、私たちは健康食品、磁気療法、整体、温泉療法、アロマテラピーなど、多種多様な施術・療法を利用しています。 厚生労働省は、これらを統合医療と呼んでいます。初めて聞いたという人もいるかもしれません。 2012年から同省は検討会を開催して議論を重ね、統合医療を「近代西洋医学を前提として、これに相補(補完)・代替療法や伝統医学等を組み合わせて更にQOL(Quality of Life:生活の質)を向上させる医療であり、医師主導で行うものであって、場合により多職種が協働して行うもの」と説明しています。 近代西洋医学に組み合わせる療法の例を図のように整理しました。 なお、図に挙げられている療法は、効果の有無を問わず、多くの国民に利用されているものという位置づけになります。「図に載っているから厚生労働省が効果にお墨付きを与えた」というわけではありませんので、ご注意ください。 そして、統合医療を適切な形で推進していくために、臨床研究の支援、正確な情報発信の必要性を提言しています。
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