徳川家康、きんさん・ぎんさん、森光子さん…「長寿の人」が食べていたモノとは? 世界が注目する「超健康食」
徳川家康が食べていた“イライラを防ぐ”食材
例えば、当時としてはかなりの長寿といえる数え年75歳まで生きた徳川家康。優れた戦略家として天下を手中に収めた家康は、食事に関しても計算ずくと評すべき「戦略飯」を実践していました。 家康は麦飯とみそ汁を好んでいました。大麦には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維がバランス良く含まれており、整腸効果が絶大です。腸内フローラという言葉が注目されているように、近年、腸内環境を良くすることが心身の健康にとっていかに重要であるかが明らかになっています。腸には免疫細胞の約7割が集まっているため、麦飯は優れた「抗感染症食材」ともいえるわけですが、家康は大麦を水に一晩漬けてから炊くよう部下に命じていました。 そうすることでギャバ(γ-アミノ酪酸)が発生します。チョコレートに豊富に含まれ、神経伝達物質として機能するギャバには、精神を安定させてイライラするのを防いだり、安眠をもたらしたり、血圧を下げたりする効果があることが分かっています。家康は、人前で部下を𠮟りつけるようなことがない、冷静な人物だったと伝えられています。戦国時代を勝ち抜いた家康の沈着さは、「健脳食」であるギャバのおかげだったのかもしれません。 なお、家康は漬け物の塩味にまで口出しをしたといいます。しょっぱ過ぎてはいけないと。塩辛いものを食べ過ぎると喉が渇き、戦場でよい働きができないという事情があったようですが、塩分過多による高血圧を防ぐという意味において、家康のこの指示は「健康戦略」としても正しいものでした。 また、みその原料である大豆にはリン脂質の一種であるレシチンが豊富で、神経伝達物質の材料となり、記憶力の改善・向上に役立ちます。家康が、江戸幕府を開き、運営するのに成功した明晰な頭脳を保ち続けたこともうなずけます。 ちなみに、長寿の源の一つには“好色”が挙げられるようです。中世のイングランドで152歳まで生きたとされるトーマス・パーは、105歳の時に不義の子をもうけ、122歳で再婚するという驚異的な“性力”の持ち主でした。いくつになっても異性を意識することは精神的な張りを生み出し、長寿につながる。なお、パーの食生活は全粒粉の黒パンと野菜が中心で、スコッチ・ウイスキーの「オールドパー」は、この「パー爺さん」にちなんで名付けられたものです。 家康も生涯で妻妾合わせて17人の女性を愛(め)で、最後の側室をおいたのは68歳の時だったとか。大豆に含まれるアルギニンというアミノ酸は精子のもとになります。さらに、タカ狩りが趣味だった家康は、野鳥の胸肉をよく食べていました。そこには、カルノシンやアンセリンといった抗酸化成分、つまり老化予防成分が含まれています。この趣味も、いつまでも精力と“性力”を持ち続けた家康の若々しさを支えていたことでしょう。