『光る君へ』ゆかりの地へ!一条天皇や定子・彰子が過ごした京都御所、まひろの氏神・大原野神社…東大・本郷先生と実際に歩いて分かった<事実>とは?
◆紫式部の氏神・大原野神社へ そしていよいよ旅は最終目的地、大原野神社へ。 ここは延暦3年(784年)に長岡京遷都の際の守り神として春日大社の分霊を歓請したことにはじまり、その後、嘉祥3年(850年)に社殿が造営されると、春日大社、京都・吉田神社と並んで「藤原氏の氏神三社」のひとつに数えられるようになったという、やはり由緒ある神社です。 貞観3年(861年)以降、皇后の参拝が再々あり、円融天皇や一条天皇も度々行幸するなど、藤原氏のみならず、朝廷からも特別な崇敬をうけたそう。特に藤原氏の家に女の子が生まれると「皇后・中宮になれるように」と祈願に訪れ、その通りになると行列を整えて参詣することが通例となっていた、ということでした。 なお中宮・彰子が行啓した際には、紫式部もお供したといわれ、『源氏物語』にも、二十九帖「行幸(みゆき)」の巻に、大原野へと向かう冷泉帝の行列が描かれています。 紫式部は、父・為時の赴任に伴って都を離れたとき、越前の日野岳に大原野の小塩山を重ねて次の歌を詠んでいます。 ーーここにかく 日野の杉むら 埋む雪 小塩の松に 今日やまがへるーー ここ(越前)では、日野山の杉たちを埋めつくすくらい雪が降っている。都でも雪は降っているでしょうか、小塩(おしお)山の松にちらちら降る雪 実際に歩いてみると、森の中にある美しいこの神社が、紫式部にとって特別な場所だったことがよくわかります。 そんなことを感じながら散策する背後で、実は『光る君へ』のメインテーマ『Amethyst』がずっとスピーカーから流れており、それもまた心が揺さぶられました。 というのも、まひろに「気づいていないとでも?」と詰め寄る黒木華さん演じる倫子が何を告げるのか、そしてラストはいったいどうなるのか、展開が気になって仕方のない『光る君へ』最終回の放送時間が、なんと帰りの新幹線の乗車時間にぶつかっており…。 そのせいか、家に着くまで気持ちがなんだか高まったままでしたが、ともあれ平安貴族ゆかりの地を巡った二日間。今回も充実した旅を無事に終えることが出来ました。 ちなみに、私たちが石山寺を訪問した翌日、そして平安神宮を訪問した数時間後、パブリックビューイングのために京都を訪問していたまひろ役の吉高由里子さんと道長役の柄本佑さんも同じ場所を訪れていたとのこと。主演を務めたお二方のお姿を直接拝見できなかったのは残念でしたが、それでも「ゆかりの地を巡る」という目的がしっかり果たされたようでうれしかったです。 また本ツアーは70名のキャンセル待ちが出たということで、3月中旬に<第二弾>が開催される運びとなりました。前回参加が叶わなかった方も、是非この機会にご検討をいただければ幸いです。 以上、参加された皆さま、そして本郷和人先生、今回もありがとうございました!
「婦人公論.jp」編集部
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