軽新車販売10年連続トップ目前! ホンダ「N‐BOX」の無双状態はいつまで続くのか!?
経済アナリストの森永卓郎氏は、"N-BOX無双"の秘密をこう分析する。 「N-BOXは軽自動車ですから、自動車税、重量税、高速道路料金などが安く、コストパフォーマンスの面でも魅力的です。その上、安全性が高く、室内も広くて、たっぷり荷物を積める。何よりN-BOXはエンジンがいい。軽ですが、ホンダ伝統のスポーツライクなエンジンを受け継いでおり運転が楽しい」 すでに売却したそうだが、2代目N-BOXのFF(前輪駆動)ノンターボを所有していた自動車ジャーナリストの桃田健史氏もうなずく。 「首都圏を中心に、東北、北陸、関西など各地を走りましたが、走りの良さは圧倒的です。これは自動車の基本性能の指標であるNVH(ノイズ=騒音、バイブレーション=振動、ハーシュネス=路面からの突き上げ)への対応がとてもいいからです。ただし、軽自動車ではハーシュネスへの対応がコスト面から難しい場合が多い」 しかし、N-BOXは別格で、ホンダのN-BOXに対するコストのかけ方がハンパないのだという。 「当然、自動車メーカーとしての利益を圧縮しますが、ホンダとしては走りの良さにこだわったわけです。その結果、N-BOXはロングセラーになった。量産効果によってコスト増もある程度は吸収できているのでは」 気になるのは使い勝手だ。 「助手席のスライド量が大きいなど、シートアレンジが豊富です。後席部の使い勝手も良く、フルフラットシートではありませんが、車中泊にも十分対応します。リアハッチも大きく、荷物の搭載性もいい。余談ですが、人気車なので売却時の下取り価格(リセールバリュー)も高かった」 ニッポン市場で無敵のクルマ状態のN-BOX。それを猛追するのが、昨年11月に6年ぶりのフルチェンを受けたスズキのスペーシアだ。 「デビューから1年がたつ3代目スペーシアですが、販売はすこぶる好調です」 ホクホク顔でこう話すのは、スズキの販売店関係者。実際、スペーシアの快進撃はすさまじく、今年5月の新車販売の総合ランキングでN-BOXを退けて首位に! この大番狂わせは大きな話題になった。何しろスズキが新車販売総合1位に輝いたのは9年5ヵ月ぶり。2014年12月のワゴンR以来の快挙だったからだ。人気の理由をスペーシアの開発責任者である鈴木猛介(たけゆき)氏に聞いてみた。 「デザイン、装備、機能と価格面がようやく適正になった結果だと思います」 それを裏づけるように、前出の森永氏がこう言う。