下積みゼロから瞬く間にスターダムへ。一転、借金22億円を抱えても折れない山田邦子が見たお笑いの世界
面白いと思い続けること
還暦を超え、まだまだ精力的に活動を続ける山田の原動力は、面白いことへの貪欲さだ。 「人間の持ついろんな感情の中でも、やっぱり『面白い』が一番好き。自分も面白くありたいし、面白い人と一緒にいたい」 面白さのためなら、すべてを武器にしてきたという自覚がある。ウケるためなら、変なメイクをしたり、丸坊主にだってした。山田がテレビをジャックしていた当時は、芸人が見た目を揶揄され笑いをとってなんぼの時代でもあった。 「今は駄目なんだってね。いいじゃんね。キャラクターであり個性なんだから。自分も面白がればいいのよ。あだ名なんかも面白いね。そういえば私、メスゴリラって言われたことあるわ」 メスゴリラと揶揄された次の瞬間、山田の出した答えは、胸をたたいて「ウホホ!」とやることだった。言った相手も、周囲もみんな爆笑したという。 「反射神経でしょうね。そりゃ私だってメスゴリラなんて言われたらクソって思いましたよ。でも、人生が全部笑いに直結してるの。だって笑いにしたほうが楽しいでしょう。もし自分が嫌だと思ったらそう言えばいい。我慢はしなくていい」
逆に苦手なのは、しんみりするシーンや、真面目な会議、そしてお葬式。 「(上島)竜ちゃんのことは悲しかったね。お葬式にどうしても出られなくて、式が始まる1時間前に手を合わせに行ったんです。まるで寝てるようだから、『竜ちゃん、竜ちゃん』って何度も呼んだけど、やっぱり起きなかった。最初はずいぶん似合わないことしたなと思ったけど、『違うな、これはおっちょこちょいだな』と思ったの。竜ちゃんらしいなって」 山田邦子は元気が取りえ。そう言われ続けてきた。だから、みんなが山田に元気をもらいにくる。人に与えてばかりの山田は元気をどうチャージしているのか。 「元気はなかなかやってこないですよ。自分の中からひねり出さないと」 目が覚めたら丹田と呼ばれる腹部の真ん中を押し、深呼吸。そうしてスイッチを入れる。自分にエナジーと活を入れてから一日を始める。 「疲れたなと思ったら、おいしいものを食べてリラックス。あとは寝なきゃ駄目だね。忙しいときに睡眠が足りなくなると、要らないこともどんどんどんどん考えちゃうから。そして夜は難しいことを考えない。暗闇の中で落ち込んだら引っ張られるから。朝になってまだその話の続きを覚えていたら、そのとき考えればいい」