追い詰められてからの「知らんがな」で大逆転。番組打ち切りの危機を打破した川島明の大喜利力
芸歴25年、群を抜いた大喜利センスと仕切り力が定評の麒麟・川島明。そんな彼が、「ラヴィット!」で初の本格的なMCに就任し、1年が経った。スタート時は低視聴率に苦しみ、番組の打ち切りもささやかれた。だが、ゴリゴリのバラエティースタイルがコロナ禍の世にあって好評を博し、3月末には同時間帯で男女コア視聴率2位へと大躍進した。ベテラン芸人が見つけた番組生き残り戦略を聞いた。(文中敬称略 取材・文:キンマサタカ/撮影:高須力/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
朝8時、番組スタート。30分にわたるオープニングトークののち、クイズという名の大喜利大会が始まる。生徒よろしく行儀よくひな壇に座る出演者たちが勢いよく手を挙げる。突拍子もない回答が出るたび、MCの川島が突っ込み、スタジオは大きな笑いに包まれる。 「僕の立ち位置は、教育実習に来た、生徒と年齢の近い先生。いい感じにいじりやすいから、みんなが肩の力を抜いてくれるんですかね」 川島が「ラヴィット!」で見せるMC像。それは、今までに例を見ないものだ。親しみやすいといえば聞こえはいいが、失礼を承知でいえば「なめられている」ともとれる。出演者たちは肩の力を抜いてリラックスして本番に臨む。若手だろうと萎縮することなく、何か爪痕を残してやろうと目を光らせている。 「彼らもね、加藤浩次さんやダウンタウン浜田さん相手にあんな態度を取らないですよ。みんなが僕に『何してくれてんねん』と言わそうとしているんです」 出演者をリラックスさせる力があるのかもしれないと笑う川島だが、番組開始当初はみんなが緊張してくれないことが不安だったと振り返る。 「僕がこれまで出演した番組のMCは、みなさん威厳がありました。自分がダウンタウンさんの番組に出る前夜は眠れないこともあった。そんな経験をしてきたからこそ、みんなの態度が予想外だったんです」 だが、番組が始まってからは、これが自身のスタイルだと腹をくくるようになった。 自分の良さは距離感の近さ。回答者のボケの連発に大笑いしていると、あっという間に2時間の生放送が終わるという。