「GRヤリス」エンジン搭載のトヨタ“新型”「ハチロク」が楽しすぎる! EV版は6速MTで『頭文字D』ファン納得の完成度【試乗レビュー】
名機「4A-G」のエンジン音をBEVで再現
もう1台は、カローラレビンベースの電気自動車版「AE86 BEVコンセプト」。搭載するPUは、モーターが北米向けピックアップトラックの「タンドラ」ハイブリッド車用のもので、最高出力95kW(129PS)、最大トルク150Nmを発揮。 バッテリーはレクサスNX PHEV用のもので、電池容量は18.1kWh。コンパクトなボディに対して体積が大きく重いバッテリーは、取り払ったリアシート部分から荷室部分までの広い面積を占めている。車重はオリジナルより110kg増えた(1070kg)けれども、ここ一発では230Nmまでのトルクアップが可能になるという。 エクステリアは、ドアに「電気じどう車(実験用)」の文字を入れ、「LEVIN」のエンブレム中のEV部分が緑色に、「TWIN CAM 16V」のロゴは「NON CAM 0」に変えてある。ホイールは頭文字Dと同じレーシングサービスワタナベ製の8スポークだ。 インテリアはちょっと驚くほどガチガチのスパルタン仕様で、内張りをドア以外全て取り払い、車内には太いロールゲージを張り巡らせている。シートはフルバケットのBRIDE製で、ドライビングポジションはかなり低めだ。 エンジン車のようにキーを捻り、ちょっと長めのクランキングでモーターが目覚める。1速に入れて走り出すといきなりリアから「ガシャガシャガシャ」とLSDが暴れる音が出てびっくりするが、これはドリフトやドーナツターンまでできる仕様に仕上げたから。モリゾウさん(トヨタの豊田章男会長)に乗ってもらうため、とんがったクルマにしたという。 モーターの後ろに6速MTを組み込んだ走りは、まさにチューンしたハチロク。4A-Gからサンプリングした“エンジン音”がシート下から聞こえてきて、シフトのアップ&ダウンやモーターの回転数に上手にリンクする。一方、モーター車なのでエンストすることがなく、何速に入れていても(加速感は異なるが)普通に走ってくれるのは不思議な体験だった。 実際に試乗した人たちの意見では、エンジンモデルなら200万円~250万円、BEVモデルなら300万円前後であればやってもいいかも、という返事が多いという。 PUコンバージョンを事業化し、旧車が生き延びる道を探るというのはあながち夢ではなく、結果としてクルマ文化をさらに盛り上げることにつながるはずだ。 SPECIFICATIONS トヨタ AE86 G16Eコンセプト|Toyota AE86 G16E Concept ボディサイズ:全長4215×全幅1625×全高1315mm 車両重量:980kg エンジン:1.6リッター直列3気筒DOHC12バルブ(G16E) 最高出力:83.8kW(114PS)/7000rpm 最大トルク:160Nm(16.3kgf-m)/3200rpm 駆動方式:FR トランスミッション:5段MT トヨタ AE86 BEVコンセプト|Toyota AE86 BEV Concept ボディサイズ:全長4200×全幅1625×全高1315mm 車両重量:1070kg モーター最高出力:95kW(129PS) モーター最大トルク:150Nm(15.3kgf-m) 駆動方式:FR トランスミッション:6段MT
文・写真= 原アキラ