「GRヤリス」エンジン搭載のトヨタ“新型”「ハチロク」が楽しすぎる! EV版は6速MTで『頭文字D』ファン納得の完成度【試乗レビュー】
GRヤリス譲りの「G16E」をハチロクに移植。その乗り味は?
最初に乗ったのは、スプリンタートレノベースの「AE86 G16Eコンセプト」。換装されたエンジンは、GRヤリスやGRカローラが搭載する300PS級の3気筒1.6Lターボエンジン(G16E-GTS)のターボを廃して自然吸気とした「G16E」で、最高出力83.8kW(114PS)/7000rpm、最大トルク160Nm/3200rpmを発生する。元の4A-Gがグロス130PSだったので、パワーはほぼ同じと解釈できる。 最新エンジンになることで、クリーンで省燃費な環境性能の獲得や将来の代替燃料への対応だけでなく、故障リスクの低減などメリットはたくさんある。ただ担当者に話を聞くと、ロングストロークのためエンジンの背が高く、トレノの低いボンネット内に収めるのに苦労したのだとか。 このためバランスシャフトを廃止したり、オイルパン、クラッチハウジング、フライホイール、エンジンブラケットの新設、オイルキャップの薄型化、さらにFRPボンネットの内側センター部分を削ったりしてなんとか設置できたのだという。 さて、ハイレスポンス化したエンジンと、クイックシフトの5速ミッション、少し重めの「OS技研」製クラッチ、ノンパワステのナルディ3本スポークステアリング、バケットシートを組み合わせた走りはというと、スタート直後はちょっと苦労するかもしれないけれど、すぐに慣れてくる、というもの。 低回転域では、バランスシャフトを取っ払っているため3気筒の振動がシフトノブやステアリングに「ブルブル」と伝わるが、低速トルクがあるのでクラッチ操作にあまり気を使う必要がないのに気が付く。2000回転を超えれば、「ドルルーン」というトヨタエンジンらしいサウンドに乗って、980kgの軽いボディがペダル操作量に比例して元気よく加速してくれる。 また、交差点を曲がる際には、リアのLSD(リミテッドスリップデフ)が効いて、「weds」のレーシングフォージ14インチホイールに装着したタイヤが「キュキュキュッ」と鳴くではないか。 ドアには大きな文字で「G16Eエンジン車(実験用)」(藤原とうふ店と同じ書体で)と書かれていて、宅急便のお兄さんはこっちを見て笑っているし、信号で止まったミニバンのオーナーさんはウインドウを下げてあいさつしてくれるから、もうたまらない。みんなよく知っているのである。