セレブシェフが虜になったアップルパイや、アートな街並みetc... Penおすすすめの青森旅【十和田・八戸編】
2.松本茶舗
十和田市周辺では、十和田市現代美術館の開館以来、市民による自主的なアート活動も年々盛り上がりを見せている。 「十和田市地域交流センター(とわふる)」は、建築家・藤本壮介が「アートのまちのリビング」をコンセプトに設計し、アートと市民の地域交流を融合させた施設として昨年オープンしたばかりだ。真っ白な外壁にはアーティスト・鈴木ヒラクによる、環状列石と惑星の軌道を主題とした光のドローイング『光と遊ぶ石たち』が輝く。館内には大・中・小のギャラリーと多目的室や中庭があり、市民の研鑽や発表、フリーマーケットなどに利用されている。 そしてアーケードの一角にある、一見普通のお茶と茶器の店「松本茶舗」を訪ねるのを忘れないでほしい。明治41年創業の老舗茶店の中に所狭しと並ぶのは茶器だけでなく、世界で活躍するアーティストたちの作品だ。今年のべネツィア・ビエンナーレ日本館代表作家・毛利悠子をはじめ、2023年ドクメンタ15に招聘され、今回青森5館に共通作品を巡回させる栗林隆の作品も展示されている。床下への梯子を降りるとそこは洞窟のような空間。栗林が美術館の個展で発表した大規模なインスタレーションの続編ともいえる、地球規模で繋がり合う海底丘陵をかたどった彫刻が現れる。十和田に滞在中にこの地下空間を知った栗林が制作したものだ。筆者が当初観た時は、そこに八甲田山の雪解け水が満たされていたが、現在は水が抜かれ、あらわになった海底の様子が、人類が規定した国境の存在を問いかける。 松本茶舗 青森県十和田市稲生町17-5 TEL:0176-23-2138
3.相馬菓子舗
十和田市の見どころは、アートだけにとどまらない。街歩きの最後には創業約50年の老舗、相馬菓子舗に向かおう。相馬菓子舗では創業以来、りんごを主役にしたスイーツを主に扱ってきた。なかでも必食なのが、店の看板メニューのアップルパイだ。りんごの爽やかな甘みを存分に生かすため、生地には砂糖を一切使っておらず、生のりんごをのせてじっくり焼き上げた。ひと口かじった瞬間にジュワっとりんごの優しい甘みが口いっぱいに広がる。大きめサイズだが、1個と言わず2個3個とどんどん食べ進められてしまいそうだ。 いま、このアップルパイは、県外にとどまらず世界中で大きな注目を集めている。ブレイクのきっかけは、台湾で初のミシュラン星付きレストランを手がけ、世界のトップ・シェフ100人に選ばれたことで知られているアンドレ・チャン。彼のSNS上で公開されると、瞬く間にアジア中にその魅力が広まった。2年前、彼が手がけるレストラン「RAW」と青森県のコラボレーション企画で青森に訪れて以来、直接アップルパイのレシピを尋ねられたこともあるそうだ。休日は、台湾などアジアを中心とした国々から訪れる客が多く、午前中に売り切れてしまうこともあるので、事前に電話で確認しておくことをおすすめしたい。 相馬菓子舗 青森県十和田市西十一番町22-7 TEL:0176-23-4841