セレブシェフが虜になったアップルパイや、アートな街並みetc... Penおすすすめの青森旅【十和田・八戸編】
十和田市現代美術館の見どころ1 グループ展『野良になる』
企画展スペースでは4人のアーティストたちのグループ展『野良になる』が開催中だ。本展では、年々不安定になる自然環境の変化を出発点に、人間の思考を規定してきたさまざまな二項対立の枠組みの境界を撹乱しながら、野生でも飼われるのでもなく「野良のように」強かに息づく存在や物語を紡ぐ若手作家を紹介する。 日本とアメリカにルーツを持ち、トランスジェンダー女性として生きるあり方を彫刻で表現する丹羽海子。学校教育を離れ、独学で学んだドローイングを柔らかいウールに変換し風景を描く䑓原蓉子。品種改良や養殖といった人間のコントロールと動植物の生の関係を取り上げ、映像や料理の作品を制作する永田康祐。ブラジルに植民地時代以前から伝わる知識をもとに、植物と人間の関係を問い直すアナイス・カレニン。多様な視点から自然を捉えようとするみずみずしい表現に注目したい。
十和田市現代美術館の見どころ2 十和田だけのワンアンドオンリーに出会う
常設展示では、じっくりと時間をかけて、全館に散りばめられた世界的アーティストたちの唯一無二の作品を味わいたい。たとえば、チケットカウンターのあるエントランスホール。ビニールテープでマルチカラーのストライプ模様が施された床は、英国グラスゴー出身のジム・ランビーの作品『ゾボップ』(2008年)だ。またカフェのある休憩スペースのフロアにも、台湾出身のマイケル・リンによる、十和田市の伝統工芸である南部裂織から着想を得た花模様のコラージュが描かれている。ほかにも、作品の中に入ることのできるインスタレーションやベンチのように座ることのできる屋外彫刻など、いずれも十和田でしか出会えない作品ばかりだ。
美術館周辺のアートな街並みも必見
官庁街通りを挟んだ美術館の向かい側には、「アート広場」の芝生が広がる。ユーモラスな太めの車や巨大なゴーストなどが立ち並び、草間彌生によるカラフルな水玉の屋外彫刻の周囲では、いつも子どもたちが遊んでいるのを見ることができる。さらに商店街や住宅地など、まちなかに点在する作品やストリートファニチャーも見どころだ。 なかでも、現代アートチーム目[mé]がまちなかの古い建物を改装し、ホワイトキューブの展示室をコピペのように出現させた作品 『space』(2020年)では、若手アーティストによる実験的な表現を紹介している。7月6日(土)からは、京都出身でロンドンを拠点とし、パフォーマンスやアニメーション作家としても活動する尾角典子の個展『#拡散』を開催。展示室に出入りする鑑賞者と、体内に侵入するウイルスとの共通点に注目し、人間とテクノロジーの関係をテーマにした新作を発表する。