品川の高級住宅街になぜ博物館? 「翡翠風呂」が名物、館長は“75歳・フィルタ製造社長”
東京都品川区・御殿山。閑静で緑の多い高級住宅街として知られるこの場所に、100個以上もの翡翠の原石を展示する個性的な博物館「翡翠原石館」はある。 【全画像をみる】品川の高級住宅街になぜ博物館? 「翡翠風呂」が名物、館長は“75歳・フィルタ製造社長” ここは、館長の靎見信行(つるみ・のぶゆき)さんが運営する個人博物館だ。トラックや建設機械などに用いられるフィルタを製造する、ピーコックエレメント株式会社の会長を務めながら、同時に翡翠原石館も運営している。翡翠のみならずルビーやオパールなど、さまざまな原石を収集すべく、75歳の今も世界を飛び回っている。 翡翠原石が展示されている館内には、どのような光景が広がっているのか。そして、靎見さんはなぜ翡翠に魅せられ、この場所に博物館を開いたのか。館内の紹介と共に、靎見さんの人生を覗いてみた。
翡翠原石に囲まれたパワー溢れる空間
吹き抜けでガラス張りで開放感ある館内。 室内から庭まで、巨大な翡翠原石がたくさんあるほか、テーブル、チェアパッド、花瓶、さらには仏像が身につけているネックレスまで、あらゆるものが翡翠でできている。 そして、真っ先に目を奪われるのが、2階の天井までそびえ立つ巨大なモザイクタイルアートだ。翡翠を含む10万個以上もの原石によって描かれた迫力満載の1枚となっている。 作品のモデルは、『古事記』に登場し、糸魚川にも伝説が残る奴奈川姫(ぬなかわひめ)だ。靎見さんが想像で描いたスケッチをもとに、モザイク作家の本間洋一によって描かれた。 大きさとそのタイルの細かさだけに、制作には6年もの歳月がかかったそうだ。 2階部分も1階同様にたくさんの原石が見られるが、香炉や観音像などの翡翠作品にも注目したい。 どの作品も細部まで作り込まれ、美しく磨き上げられた出来栄えには、思わず目が奪われる。 例えば、地面や土台に至るまで全てが翡翠でできた、高さ130センチの五重塔。1枚1枚の屋根瓦、各層の扉、欄干など、細部にまでこだわりが見られる荘厳な作品だ。 美しい原石や翡翠作品を楽しんだら、サービスのスリランカ紅茶をいただける。翡翠原石のテーブルで、翡翠に囲まれながらじっくりと一杯を楽しむのもいいだろう。