ミスしたら罰金な→4ヵ月で給与84万円を取り上げ…「職場いじめ」が発生する環境の共通点【専門家が警告】
近年相次ぐ、同僚による卑劣ないじめ
第二の特徴は、「職場全体の加害者化」である。現在でも、職場いじめの多くが経営者や上司によって行われている。 しかし、近年では、経営者や上司に限らず、先輩や同僚、部下など、広義の同僚によって、多くのいじめが行われている。最近の報道から例を挙げよう。 4ヵ月で給与84万円を取り上げ、オムツで働かせ、クレーンで吊るす まず、香川県の金属加工を営む中小企業で起きた、先輩社員による10年以上に及ぶ凄惨ないじめを紹介しよう。あまりの酷さのため、加害者は2021年5月、高松地裁において恐喝罪などで懲役2年6ヵ月の実刑判決を受けている。新聞の報道によると、経緯は次の通りだ。 10年以上前、後輩社員の男性がミスをして怒鳴られたことをきっかけに、先輩社員によるいじめが始まった。男性に対する𠮟責の回数が増えるようになり、殴打などの暴力も受けるようになった。やがてミスのたびに「罰金」を取られるようにまでなった。 次第に暴力はエスカレートしていき、殴打には鉄パイプが用いられた。給料の大半も奪われるようになった。明らかになっている2020年6月~9月の4ヵ月間だけで、奪われた金額は84万円に及んでいる。 さらに男性を裸にしてオムツを穿かせて仕事をさせ、水を大量に飲ませてトイレに行かせなかったという。天井のクレーンに吊り下げて振り回したこともあった。「家族を崩壊させる」と脅すこともあった。2020年に同僚が警察に訴えたことで、ようやく事態が公然化した。 とはいえ、会社はもともと被害を把握していたという。男性が上司に訴えても問題にせず、起訴されてようやく先輩社員を解雇した。別の同僚も、「いつものことという感じで、誰も騒がなかった」と法廷で証言した。 加害者である元先輩社員は「何度注意してもミスを繰り返すので嫌悪感が募った」「怒りの感情がコントロールできなくなっていた」と述べている。被害者の男性も「ミスをした自分が悪い」と発言し、罪悪感を植え付けられていたことがわかる。 坂倉昇平 ハラスメント対策専門家
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