熊本地震「本震」1か月 大阪へ避難の女性が語る故郷への思い
「1か月前に姉を頼って大阪へ来ました。今後は不安がいっぱい、もう若い時とは違うので」──。熊本地震「本震」の発生から16日で1か月となった。現在も1万人を超える人々が避難生活を送っているが、県外へ出て親類のもとに身を寄せている人も多い。熊本市内の自宅マンションが全壊し、遠く離れた大阪府内に住む姉のもとで生活を送る女性が、現在の心境を語ってくれた。 「この日を待ってたモン」くまモン大阪でファンと涙の抱擁
心機一転の新たな住まいが「本震」で全壊 仕事も失う
熊本市内に住む女性、真貴さん(50)は4月14日夜、自宅マンションでとてつもなく激しい揺れに驚いた。「5分くらいは揺れていたと思います。倒れないよう両手でどこかにつかまってる状態でした」。外へ逃げる途中、非常階段付近の壁が崩れ、そのホコリなどが目に入り激痛が走った。 時間的にも病院はやっていない。「とにかく治さないと」と細心の注意を払いながら車で薬局へ向かい、目の洗浄液を購入。洗浄後自宅へ戻りその目に映ったのは、傾いたマンションの姿だった。とりあえず、通帳や少しの着替えなどをカバンにつめて車中泊。しかし、容赦ない余震に眠ることができないまま時がすぎた。 そして4月16日の「本震」が発生。マンションの非常用らせん階段が倒れ、建物中央には大きな亀裂が入り、ある部屋は室内が真っ二つの状態となるほどの被害に見舞われ、立ち入り禁止となった。「落ち着いたら戻ろうと思っていたので、家に荷物はあるままだったんですが。これは悔いが残ります」 真貴さんは、前年に生まれ育った天草市を離れ、このマンションに心機一転引っ越してきたばかり。そのため周囲に知り合いはおらず悩んだ。そこで、大阪に住む姉から「こっちへおいで」と声をかけられ、自宅を離れる決意をした。一人暮らしの身にとって身内の温かい言葉は本当にうれしかった。
51歳から身一つの出直しは不安が募る
大阪へ来て1か月。余震の恐怖は落ち着いたが、今後のことや熊本の友人の状況などを気にしながらすごす日々をおくる。 「もうすぐ51歳になるんですが、これから身一つで出直しということですから。若い時と精神的に違う。不安なんですよね、精神的にまいってます」 熊本で車中泊の避難生活を送る友人からメールをもらっているが「(一緒に暮らす)ペットの様子がおかしくなりかわいそう」「寝られない上に仕事にも行き、もうろうとしながら仕事している」という内容を見ると「自分はここに避難して寝ている」と、なにか罪悪感も感じてしまう。