特別展「旧嵯峨御所 大覚寺―」が東博で来年開催。120面を超える重文の障壁画を展示
東京国立博物館 平成館で開創1150年記念 特別展「旧嵯峨御所 大覚寺―百花繚乱 御所ゆかりの絵画」が開催される。会期は2025年1月21日~3月16日。 京都西北に位置する嵯峨は、古くより風光明媚な王朝貴族遊覧の地として愛されてきた。平安時代初期には嵯峨天皇がこの地に離宮・嵯峨院を造営。空海の勧めで五大明王像を安置する。その後、876年に寺に改められて大覚寺が開創。06年には開創1150年を迎えことになる。 大覚寺の寺宝のなかでも、寺内の中央に位置する宸殿は狩野山楽(1559~1635)の代表作である襖絵や障子絵といった障壁画は重要文化財に指定。本展ではそのうちの120面を超える障壁画が展示されるほか、歴代天皇の書や、密教美術なども紹介される。 展覧会は4章構成。第1章「嵯峨天皇と空海―離宮嵯峨院から大覚寺へ」では、嵯峨院や初期の大覚寺の様子を示す寺宝を紹介。《五大明王像》(1777)は、平安時代後期の京都における上級貴族の仏像制作を担った仏師・明円による、天皇家ゆかりの仏像だ。力強い体つきには気品があふれ、整った顔つきを見ることができそうだ。 第2章「大覚寺中興の祖・後宇多法皇―『嵯峨御所』のはじまり」では、同寺の中興の祖である後宇多法皇の事績を紹介。出家して大覚寺に入った後宇多法皇は、真言密教に帰依して伽藍整備を勧め、仙洞御所を新造した。ここでは後宇多法皇の肖像、自らが筆をとって記した空海の伝記、崩御前に定めた遺告などが展示される。 第3章「歴代天皇と宮廷文化」は、室町時代以降火災や応仁の乱といった苦難を迎えながらも、歴代天皇に支えられた。本性では南北朝時代以降の天皇や門跡の実績を紹介。伏見宮家とゆかりの貴族たちによって書写された『源氏物語』や、義経を筆頭に歴代の清和源氏に継承された《太刀 銘 □忠》などを紹介。 第4章「女御御所の襖絵―正寝殿と宸殿」では、本展の白眉となるであろう、狩野山楽や渡辺始興(1683~1755)による123面の障壁画群を紹介。なかでも山楽の代表作《牡丹図》(17世紀)や《松鷹図》(16~17世紀)、最高傑作のひとつとされる《紅白梅図》(17世紀)などを体感することができる。これら障壁画は、京都でも通常は非公開で保管されているため、實物を目にすることができる貴重な機会となる。 平安時代の貴族文化をいまに伝える、大覚寺の寺宝の数々が東京に集結する貴重な機会となりそうだ。