全国高校サッカー選手権で見るべき5人の逸材
【福田師王】(鹿児島・神村学園2年/FW/178cm・70kg) 前回大会ベスト4の帝京長岡(新潟)との初戦で敗れ、2度目の選手権挑戦は年を越すことなく終焉を迎えた。それでも大会ナンバーワンの呼び声が高かったストライカーの片鱗は、神村学園があげた2ゴールを介してはっきりと伝わってきた。 ともに2点差を追っていた後半4分と36分。右コーナーキックに対してニアサイドのわずかなスペースへ敢然と飛び込み、前者はコースを変えてゴールネットを揺らし、後者ではファーサイドへすらして味方のゴールをアシストした。 ニアへ飛び込めば何かが起こる、をモットーとしてきた元日本代表FW岡崎慎司のプレー映像を徹底的に研究。右足、左足、頭のすべてでゴールを狙える異能の得点能力に愚直さや泥臭さを融合させて、プレーの幅を大きく広げてきた。 昨夏のインターハイでは5ゴールをあげて、松木玖生(青森山田)とともに得点王を獲得。プリンスリーグ九州でも15ゴールで得点王に輝き、5根年連続9度目の選手権出場を決めた鹿児島県大会も決勝までの5試合で10ゴールをあげた。 ただ、ベスト8で敗れたインターハイに続いて今大会と、何よりも優先させるチームの結果を手にしていない。有村圭一郎監督が「伸び率が一番あるんじゃないか」と期待する最終学年へ。ゴールへの嗅覚に責任感を融合させて、捲土重来を期す戦いに臨む。 【古川陽介】(静岡・静岡学園3年/MF/174cm・61kg) ドリブラーにもさまざまなタイプがいる。直近の森保ジャパンでは、伊東純也は突出したスピードで“槍”のように縦へ抜け出し、三笘薫は緩急を使い分けながら、一気にトップスピードへ加速させてマーカーを置き去りにする。 今大会でいえば、2年前に頂点に立った名門・静岡学園の「10番」が仕掛けるドリブルは、川口修監督の言葉を借りれば「高校生のレベルでは、わかっていてもまず止められない」となる。必然的に相手はファウルで止めるしかない。 緩急をべースとする点は三笘と共通している。そこへ高度なテクニックを介した鋭い切り返しと相手の逆を突き続けるボールキープ術、再び自分で前へ進むか、あるいはマーカーを自らへ引きつけた上で味方を使うかの判断力も融合させる。 卒業後はJ1へ復帰するジュビロ磐田への加入が内定している、全国屈指の技巧派軍団を象徴するドリブラーは、2年前の全国制覇をスタンドで応援していた。 「比較されるのはわかっている。なので、2年前の記憶を塗り替えるくらいの圧倒的なサッカーで優勝したい」 フクダ電子アリーナで2日に行われる3回戦では宮崎日大(宮崎)と対戦する。ボールを持ったときに複数の相手選手に取り囲まれる、一見すると苦境に映る状況を、個人技で打破するプレーに絶対の自信を持つ「10番」が誰よりも歓迎している。